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“ANDOワールド”に魅了されるワケ

建築専門誌編集長が語る安藤忠雄氏のスゴさ(後編)

2017年11月9日(木)

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現在、国立新美術館(東京・六本木)で開催中の展覧会「安藤忠雄展-挑戦-」は、多くの“一般人”でにぎわう。学歴や師弟関係が重視される建築の世界にあって、安藤忠雄氏は独学で建築設計を学び、東京大学建築学科教授となり、「世界のANDO」といわれるまでになった。経済人や文化人にも安藤ファンは多い。建築専門誌「日経アーキテクチュア」の宮沢洋編集長が、安藤氏本人へのインタビューや安藤氏の関係者50人に実施したインタビューの中から、安藤氏の「言葉の力」を読み解く。連載第2回は、「ANDO」のスゴさの後編をお届けする。

 「世界のANDO」は何がすごいのか――。連載第1回は建築家・安藤忠雄氏の6つの特質のうち、
①コンクリートと光
②常識外のアイデア
③小住宅にも全力

の3つについて解説した。

 今回は、残りの3つ、
④境界を越える
⑤緑に隠す
⑥プロジェクトがつながる

について見ていきたい。

国立新美術館の安藤忠雄展の会場で、白く空いたスペースを埋めるために、突然スケッチを描き始めた安藤氏(写真:日経アーキテクチュア)

④境界を越える 与条件から踏み出してハードル上げる

 建築家は「与条件」という言葉をよく使う。設計をスタートするに当たって建て主が示す発注条件のことで、主には「敷地」「完成時期」「予算」を指す。当然、それを守るのが建築家の務めなのだが、安藤忠雄氏の場合、「建て主から与えられた境界線」を逸脱して実現した建築が少なくない。

 「境界」を越えれば、当然、予算も増えるし、場合によっては完成時期も延びる。それでも、安藤氏はクライアントを説得して境界を乗り越えようとする。

 分かりやすいのが、京都市の商業施設「TIME’S」だろう。京都市街を流れる高瀬川沿い、三条小橋のたもとに安藤氏の設計による「TIME’S」が竣工したのは1984年。完成から7年後の1991年、「TIME’S II」として増築部が完成した。

手前が「TIME’S」、左奥が「TIME’SII 」(写真:三島 叡)

 1期・2期とも重要な位置を占めているのは、高瀬川の存在だ。広場は水際までレベルが下げられており、手を伸ばせば川面に届くほど。水際との間に柵などがないので、親水性が非常に高い。

「TIME’S」の1階テラス(写真:三島 叡)

 そうした空間を実現するのは行政との交渉など、ハードルが高い。今でこそ「親水広場」という言葉をよく聞くようになったが、当時、こうした商業施設は極めて珍しかった。それも、第1期の与条件としてそれがあったわけではなく、安藤氏から提案して自らハードルを上げて、それを実現したのだ。

 近年では、「東急大井町線上野毛駅」も、安藤氏の“脱・境界”志向を象徴するプロジェクトだ。2011年に新築された駅舎は、公道を挟む2つの上屋から成る。その公道をまたいで、大屋根が架かっている。大屋根はバスを待つ利用者を雨から守り、日陰をもたらす。中央には円形の穴があり、切り取られた空が闇に浮かぶようにも見える。

 この大屋根も与条件ではなく、相談を持ち掛けられた安藤氏が提案。法規などの壁を乗り越えて実現したものだ。

東急大井町線上野毛駅の公道をまたぐ大屋根。丸い穴は「駅が都市の中央である」(安藤忠雄氏)ことを表している(写真:吉田 誠)
東急大井町線上野毛駅を見下ろす(写真:吉田 誠)

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「“ANDOワールド”に魅了されるワケ」の著者

宮沢 洋

宮沢 洋(みやざわ・ひろし)

日経アーキテクチュア編集長

1967年東京生まれ。1990年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、日経BP社入社。日経アーキテクチュア編集部に配属。以来、建築一筋。現在は日経アーキテクチュアにて「建築巡礼/プレモダン編」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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