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中国製造業の発展と製造強国戦略

産業政策「中国製造2025」を読み解く

  • 黄 群慧

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[1/4ページ]

2018年4月20日(金)

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 第3回は、黄群慧・CASS工業経済研究所所長の論文です。黄氏は、中国の産業政策と企業経営論などを専門領域としています。中国企業管理研究会の副理事長などを歴任するなど、中国の産業構造を政策といったマクロな視点だけでなく、企業行動といったミクロな視点も踏まえながら分析する著名な研究者です。

 この論文は中国政府が2015年より取り組む「中国製造2025」を解説した論文です。黄氏は中国の製造業の現状を整理したうえで、「中国製造2025」の主な内容や進捗状況について考察しています。

 中国政府はなぜ「中国製造2025」を提唱したのでしょうか。「中国製造2025」はどのような特徴を有するのでしょうか。また、「中国製造2025」の過程において、日本企業もその果実を得られるような機会はあるのでしょうか。「中国製造2025」に関連した様々な疑問に対する黄氏の解説に、補足説明を加えていますので、ご参照いただくと理解がしやすいかと思います。

(大和総研 金融調査部研究員 矢作 大祐)

黄 群慧(Huang Qunhui)氏
中国社会科学院 工業経済研究所所長。1966年8月生まれ。中国企業管理研究会副会長、理事長を兼任。「中国工業経済」、「経済管理」の編集長。主な研究分野は、産業経済と企業管理。2013年の「百千万人材プロジェクト」の国家級人材に選ばれ、「国家レベルの突出した貢献がある青中年専門家」の称号を与えられた。これまでに国家社会科学基金重大プロジェクト、国家自然科学基金、および多くの省レベルの重大プロジェクトを担当。「中国社会科学」「経済研究」などの学術刊行物に200本余りの論文を発表し、単独執筆や、共著などの著作は30冊以上。第12回孫冶方経済科学賞を受賞。

 製造業は中国経済の基盤であり、国を興す宝、国の柱、国を強める礎でもある。長期にわたる安定的な発展を経て、規模で見れば中国の製造業は世界のトップクラス入りを果たし、総合的な実力と国際競争力は明らかに強化された。2016年の工業付加価値は24兆8千億元で、国内総生産の33.3%を占めている。

 世界的な視野で見てみよう。1990年に中国の製造業が世界に占める割合は2.7%にすぎず世界の第9位だった。2000年は6.0%で第4位、2007年は13.2%で第2位、そして、2010年には19.8%で第1位に躍り出た。19世紀中頃から今日までの約150年間を経て、中国は再び世界一の製造大国の地位を取り戻した。500種類あまりの工業製品の中で、中国は220種類以上の製品で生産量が世界1位である。

 ここ10年の製造業の高成長によって、中国経済は成長率のみならず、品質と効率の面でも改善され、国際分業における地位も向上した。次に国内に目を転じると、中国は建国60余年で国内総生産に占める工業付加価値の割合が、1952年の17.6%から2014年の35.85%へと倍増した。これは歴史的な変化である。

工業化プロセスに見る中国の製造強国戦略

 中国が打ち出した製造強国戦略を工業化のプロセスに基づいて説明する。

 改革開放以来、急速な工業化を経て、中国の工業化は初期と中期段階を卒業した。これに関連する研究によると、「第12次五カ年計画(2011~15)」の期間中に中国の工業化は後期段階に入ったという。それに伴い中国は農業大国から工業大国へ変身し、中国の工業生産規模は世界最大となった。

 黄氏は長年、中国の工業化について産業別GDPや就業者数などをベースに「前工業化(主要産業が第一次産業)」、「工業化初期(第一次産業が産業別GDPで20%以上かつ、第二次産業の産業別GDPが第一次産業よりも低い)」、「工業化中期(第一次産業が産業別GDPで20%以下かつ、第二次産業の産業別GDPが第三次産業よりも低い」、「工業化後期(第一次産業が産業別GDPで10%以下かつ、第二次産業の産業別GDPが第三次産業よりも低い」、「ポスト工業化(工業化後期(第一次産業が産業別GDPで10%以下かつ、第三次産業の産業別GDPが第二次産業よりも高い」という5つに分け、中国の工業化がどの段階にあるのかを定量的に分析してきました。

 黄氏の研究によれば、中国全体は2015年時点で「工業化後期」にありますが、地域間の差異が大きいことも指摘しています。北京市、上海市、天津市はすでに「ポスト工業化」段階となっている一方で、海南省、チベット自治区、新疆ウイグル自治区は「工業化初期」段階にあるという分析結果が示されています。こうした現状を踏まえ、黄氏は中国全体の製造業をいかに高度化し、「工業強国」化するかという難題に対する解決策として、「中国製造2025」という産業政策を定義づけています。

 しかし、工業付加価値率、労働生産性、イノベーション能力、コア技術の保有、コア部品の製造、グローバル・バリューチェーンでのポジション、ハイエンド産業の比率などの面から言えば、中国は工業大国だが「工業強国」ではない。

 工業化の後期段階において、中国はイノベーションを通じて産業構造の変化と高付加価値化を実現させると同時に、新たなチャレンジが必要である。とりわけ製造業はイノベーションを生みだす領域であると同時に、応用領域でもある。製造業は規模拡大にとどまらず、産業構造の変化と高付加価値化による強化が必要であり、それを実現しなければ、中国共産党第十八回全国代表大会で掲げた2020年までに小康社会(ややゆとりある社会)を全面的に建設するための工業化目標は達成困難になる。したがって、製造大国から製造強国への転換が、中国の工業化国の夢を叶える必要条件となる。

コメント1件コメント/レビュー

民主主義的な自由競争と特許や著作権を守るという国際ルールに則って、発展するならよい。しかし、実態は、無法もしくは一方的な競争に基づいていて、威張れるようなものではないはず。(2018/04/20 11:34)

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民主主義的な自由競争と特許や著作権を守るという国際ルールに則って、発展するならよい。しかし、実態は、無法もしくは一方的な競争に基づいていて、威張れるようなものではないはず。(2018/04/20 11:34)

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