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無印良品の独自性を生み出した「アンチテーゼ」

ブランドの「印」をつけない/「選択と集中」はしない…

2016年11月29日(火)

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 無印良品(MUJI)は今や日本を代表するグローバルブランドになった。中国などアジアでは高品質でシンプルな日用品を取りそろえたブランドとして業績を伸ばし、欧米では“禅の精神”を日常生活で実践するブランドとして熱烈なファンを引き付ける。

 なぜMUJIは世界の人に愛されるのか。このほど発売した著書『MUJI式 世界で愛されるマーケティング』で解説したMUJIの秘密の中から、4つのキーワードを紹介しよう。

 連載第2回目の今回のキーワードは「アンチテーゼ」──。いわゆる王道といわれるセオリーに反する、アンチテーゼの数々が、MUJIを模倣困難なブランドにしている。

 無印良品(MUJI)は、時代のアンチテーゼとして誕生した。バブルへと向かう消費社会の真っただ中だった1980年、西友のプライベートブランド(PB)としてスタートした。当時の日本は、個性あるデザインや柄、ブランドの「印」を付けた商品にあふれていた。そのような時代に、ブランドの「印」に頼らないで、「商品そのもの」の良さを訴求した商品シリーズとしてMUJIは誕生した。

 当時は、第1次PBブームともいわれ、他の大手スーパーもPBを発売していた。しかし、PBというポジションからスピンアウトして発展してきたのはMUJIだけである。これは、ひとえにMUJIのコンセプトが一過性のものではなく、時代を超えた消費者のニーズの本質に寄り添ってきたからであると考えられる。

 MUJIは、西友から独立した良品計画が、商品企画・製造から流通・販売までを行う製造小売業である。製造小売業として成功しているブランドは、ユニクロやニトリなどいろいろあるが、そういうブランドと比べると、MUJIは今でもアンチテーゼである。経営やマーケティングの一般的なセオリーとは違う選択をしていることも多い。その一例を挙げよう。

欧米グローバルブランドとの決定的な違い

 MUJIのグローバル展開は、アップルやスターバックス、ルイ・ヴィトンなどの欧米グローバルブランドとは決定的に違う。何が違うかというと、商品のカテゴリーが幅広い。

 MUJIの取扱品目は、1980年のスタート時は食品を中心に40品目だったが、現在は約7000品目に達する。衣服雑貨(紳士、婦人、子供)、生活雑貨(家具、文房具、日用雑貨、インテリアファブリック、化粧品)、食品(レトルト、お菓子、飲料)の分野を幅広くカバーしている。こうした日用品全般に広がる商品ラインナップを海外に展開している。

 アップルはスマートフォンやPC、スターバックスはカフェ、ルイ・ヴィトンはバッグやトランクなど、欧米のグローバルブランドは、絞り込んだ商品カテゴリーで勝負していて、消費者が思い浮かべる商品はだいたい一致している。ところがMUJIは、人によって思い浮かべる商品が違う。それでもMUJIはブランドとしての共通したイメージを保っている。

 そしてMUJIが世界で販売している商品は、基本的に日本で開発した商品そのままだ。現地の法律や使用環境に合わせて、たとえば家電製品のプラグ形状を変えるなどの現地適応はしているが、デザインなどは日本発のまま世界共通だ。文化の影響を受けやすい日用品という市場で、MUJIは文化の壁を超えてグローバルに受け入れられている。MUJIは挑戦的なグローバル展開を進化させてきた。

中国・無印良品上海淮海755店 のオープン時。店舗に入るのに数時間かかるほど長蛇の列が続いた。(写真:良品計画提供)

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「無印良品の独自性を生み出した「アンチテーゼ」」の著者

増田 明子

増田 明子(ますだ・あきこ)

千葉商科大学人間社会学部准教授

上智大学経済学部経営学科非常勤講師。マーケティング、消費者行動論、国際経営論を担当。良品計画在籍中に早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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