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その働き方で世界に通用する仕事ができますか?

2017年1月23日(月)

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 大企業で活躍しながらも、定年退職後はひっそりとしてしまうビジネスパーソンが多い中で、伊藤忠商事、クアルコム、ソフトバンクで情報通信事業に携わった松本徹三氏は、77歳になった今もなお通信事業に関するコンサルティングなどを手掛け、現役時代と変わらぬ忙しさで世界中を飛び回っている。本コラムの4回目は、高齢者の人材が渇望されている海外ビジネスの現状と、活躍するための条件について、松本氏の豊富な海外駐在体験を交えてお伝えする。

 同世代の商社のOBなどが集まる会合に出てみると、海外、それもあまり英語が通じない東南アジアや中南米の国での仕事に、今なお従事している人達が意外に多いのが分かる。恐らくそういうところでは、需要に比して人材の供給が少なく、その地で昔活躍した人達の力を借りたいという会社が多いのだろう。若い人達をどんどん送り込んで経験を積ませたいと思っても、海外赴任を忌避されることが多く、困っているのかもしれない。

 経営者は、現代の多くの若者が海外に行きたがらない風潮を嘆いて、単純に「積極的でない」とか「引っ込み思案だ」とか言ってこきおろすことが多いが、私はそれ以上にインセンティブがないことが問題だと思っている。勝手を知った日本国内で仕事をしていれば、あまりリスクを負うことなくそこそこの実績を上げて、次のポジションを約束される可能性が高い。それなのに、難しい海外の仕事をさせられれば、失敗の可能性がより大きい一方で、それを補って余りあるようなインセンティブは提示されていないのではないか?

ロシアでのイベントで、中国のテクノロジーベンダーの幹部と歓談する筆者

海外で経験を積める機会は逃してはならない

 もしあなたが将来に不安を感じ、できれば定年後も働きたい(稼ぎたい)と思っているなら、海外で仕事をする機会を積極的に求めるべきだ。理由は簡単で、現在心配されているような「保護主義が蔓延する」動きは「一時的な揺り戻し」に過ぎず、経済のグローバリゼーションは歴史的必然だからだ。そうなれば、知識や経験が自分の国だけに偏っている人では良い仕事はできない。

 本来人間の経済活動というものは、自然体に任すべきだ。つまり「世界中で一番安くできるところから商品が供給され、国境を越えたマーケティングによってそれが流通する」のが最も合理的と考えられており、色々な曲折があっても、この方向が否定されることはあり得ないだろう。それなのに、まずは「国内での生産」「国内での販売」を念頭にものを考え、「余裕ができればそれ(生産も販売も)を海外にも広げていく」という姿勢では、初めから勝ち目はない。

 私は一時期、日本製の携帯電話機を何とかして海外市場に売れないかと、日夜心を砕いたことがあるが、結果ははかばかしくなかった。理由は簡単で、とにかく値段が高いのだ。日本のメーカーには頑固なところがあり「品質を犠牲にするわけにはいかない」の一点張りだった。「市場での返品率が0.5%少なければ、値段は3割ぐらい高くても当たり前だ」と考え、「自分達は進んでおり、買い手が遅れているのだ」とでも言いたいかのようだった。

 韓国や欧州各国の場合は、国内市場が小さいので、初めから世界市場を狙うのが常識だ。しかし日本の場合は、品質には厳しいが値段には甘い「相当規模の国内市場」があるので、そこに安住してしまう誘惑から逃れられないようだった。「まず日本市場を考える」という姿勢から始まる限りは、世界市場で売れる商品の企画ができるわけはなく、世界市場では常に「タイミング」を失してしまうのは明らかなのに、日本企業は一般に「タイミング」ということに鈍感なように思えた。

 そういう経験を経た私の結論は、「海外へ時々売り込みに訪れる」程度では全く駄目で、幹部級の人間が実際に海外に住み、そこで海外向けの「商品の企画・開発」と「販売」の指揮を執ることが必須条件だということだった。しかし、実際にそうした人達は、おおむね相当の傷を負い、社内での競争で脱落していった。つまり、会社が背水の陣を敷いてくれなければ、とても見合わない仕事だったということだ。

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「その働き方で世界に通用する仕事ができますか?」の著者

松本 徹三

松本 徹三(まつもと・てつぞう)

ジャパン・リンク社長

伊藤忠商事、米クアルコム、ソフトバンクなどを経て、2013年からコンサルタント業を手がける。現在はソフトバンクを含む国内外の通信関連企業数社とのアドバイザリー契約がある。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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