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サッカー代表、西野監督の「とぼけ」が選手救う

仕事にも通じる一流の人心掌握術

2018年7月7日(土)

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 限られたメンバーで戦うW杯では、作戦や故障者の有無によって選手たちを様々な場面に投入することもあり得る。その時に「ここはできません」では、チームが破綻してしまう。ポジションを発表しない意図は、そうした戦い方を選手たちに要求するアナウンスになっていたのだ。

 そして私が感じたもう一つの狙いは、「ポジション」にこだわらないことが、選手たちを横一線に置いて、みんな同じように評価しているということを伝えることにあったのではないかと思う。

 一般の職場でも「課長」や「係長」という役職をつけて呼ぶ時点で、なにがしかの評価がそこに出てしまう。ポジションにこだわらず、名前だけで呼ぶことによって、純粋にその人を評価し認めているということを訴えることになる。これがチーム全体を活性化する。

ベテランを起用して経験値を共有する

 またベテランを多く選んだ真意は、彼らの経験値を必要としたのであって、単に年長者の落ち着きを求めたわけではないだろう。それがよく伝わってきたのは、GK(ゴールキーパー)の川島永嗣(メッス)との関係性だ。彼をどうして使うのかという記者からの問いに西野監督はこう答えている。

「ヨーロッパでこれだけ長くプレーしている選手の経験は貴重だ」

 川島に寄せる期待は、最後まで変わらなかった。ベテランの活用とは、経験の共有だ。その経験の数々が他のメンバーへの情報になる。「おじさんジャパン」とは、戦うために必要な情報量の多い集団を形成したということだろう。

 しかし、せっかく得た経験もそれが生かされなければ意味がない。経験値が高い選手同士が連動することによって、その経験が戦力化される。ここで求められるのは親和性のある円滑なコミュニケーションだ。電線よりも光ファイバーの方が、たくさんの情報を速く流すことができる。親密で開放的な関係性が多くの情報をもたらす。

 西野監督は、積極的に選手との対話を図り、彼らとの距離を縮めていた。また、ハリルホジッチ監督の時には禁止されていた選手同士のミーティングも、自由に奨励した。こうした監督、スタッフ、選手のオープンな関係性がチーム全体の連動につながった。

 記者会見の度に、西野監督が長谷部誠(フランクフルト)や吉田麻也(サウサンプトン)にイヤホンを付けてもらっていたシーンはすっかりおなじみのものになった。監督と選手たちの近い距離感を感じさせる象徴的な場面だった。また誰よりもプライドの高い本田圭佑(パチューカ)をスタメンから外し、ジョーカーのように後半から起用できたのも両者の信頼関係の賜物だろう。

 セネガル戦でミスの目立った川島とも、試合後にいろいろ話し合ったという。
ポーランド戦の記者会見に川島を同席させたことで、チーム内外に彼への揺るぎない信頼を見せることになった。これで一番救われたのは、川島本人だろう。こうした西野監督の配慮が、チームの団結をどんどん強めていったように映る。

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「サッカー代表、西野監督の「とぼけ」が選手救う」の著者

青島 健太

青島 健太(あおしま・けんた)

スポーツライター

5年間のプロ野球生活の後、オーストラリアで日本語教師となる。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。現在は、鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の客員教授として教鞭をふるう。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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