ボクシング山根会長と高校球児の「おもてなし」

相手を思いやる気持ちに雲泥の差

日本ボクシング連盟の山根明会長に対する疑惑が噴出した(写真=中井幹雄/アフロ)

 宿泊するホテルのスイートルームには、たくさんの水のペットボトルが運ばれて何本かは冷蔵庫に入れておくのが決まりだったらしい。用意されるのはそればかりではない。お気に入りのお菓子やアメ、何種類かの酒の銘柄も間違うことなく並べられていた。

 ご存知、日本ボクシング連盟、山根明終身会長に対する「おもてなし」の内容である。

 

 山根会長は、テレビのインタビューに応えて、そんな品々を「用意して欲しいと言ったことはない」とこれを完全に否定している。どうやらそれは間違いないようで、会長を迎え入れる都道府県連盟が気を利かせて「申し送り事項」として忖度していたようだ。

 

 しかし、ここで気になるのは、どこかでこれが行なわれなくなっていたら山根会長がどんな反応を見せていたかということだ。これまで様々なことで関係者が叱責されていたという証言が「日本ボクシングを再興する会」が出した告発状に添えられている。

 事の真偽を現時点で軽々に判断することは許されないが、公平性と透明性が最も大切なスポーツの世界において、不正な判定疑惑や反社会的勢力との関係が疑われている時点で、その責任を問われるのは当然のことだろう。

 第三者委員会の設立と報告を待たず、会長の解任決議が行われるという情報もあったが、8月6日、山根会長は自ら辞任を表明した。

 しかし、様々な疑念に対して明確な説明は行われず、問題は依然として解決していない。もうすでにボクシングに対するイメージは大きく損なわれていると言っていいだろう。まったく残念過ぎる事態が続いている。

 念のために言っておくが、「おもてなし」そのものが悪いわけではない。2020年東京五輪・パラリンピックの開催に当たっても、私たちは世界に「おもてなし」を約束している。大会招致を決めたブエノスアイレスのプレゼンテーションでは、滝川クリステルさんが「お・も・て・な・し」とそのコンセプトを日本の誇るべきカルチャーとして紹介した。私たちは、誰に言われなくてもそっと気を利かせて、相手の思いに寄り添おうとする繊細な文化を持っている。

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著者プロフィール

青島 健太

青島 健太

スポーツライター

5年間のプロ野球生活の後、オーストラリアで日本語教師となる。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。現在は、鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の客員教授として教鞭をふるう。

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