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稀勢の里と松坂投手、沈黙は力なり

貴乃花親方も絶賛する横綱相撲

2018年9月22日(土)

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休場明けの稀勢の里に注目が集まる(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 横綱が勝つだけで場内から万雷の拍手が起こる。みんなが勝ってほしいと願いながらその相撲に注目する。そんなことでは、横綱として恥ずかしいということでもあるだろうが、今場所(大相撲秋場所)の稀勢の里には、期待と心配が入り混じった応援が連日送られた。

 8場所連続休場からの復活の土俵。初日の勢戦から5連勝。心配された序盤の相撲を何とか無傷で乗り切ったが、その内容はサーカスの綱渡りを見るようなハラハラドキドキの連続だった。6日目の千代大龍戦で黒星を喫すると、7日目の千代の国との一番では、土俵際で投げを食らい悪い連敗癖が始まったかと思ったが、稀勢の里が寄せた体に千代の国の足が先に土俵を割り、「寄り切り」で辛くも6勝目を手にした。

 そして圧巻だったのは8日目大関・栃ノ心との相撲だ。前日、玉鷲に痛い2敗目を喫していたもののその負けを引きずることはなかった。大関ともケガで休場が続いてからおよそ1年戦っていない。

 横綱がどこまで回復したのか? ここまで6勝している力は本物なのか? さまざまなことが試される一番だった。

 すごい力相撲だった。50本の懸賞がついた結びの一番。立ち合いから真っ直ぐに当たった稀勢の里は、得意の左四つに持ち込んだものの栃ノ心も角界を代表する怪力力士だ。がっぷりと組み合って譲る気配はない。何度も右からの下手投げを繰り出してくるが、稀勢の里はそのたびに体を寄せて栃ノ心を土俵際に追い詰めていく。稀勢の里は焦ることなく栃ノ心に圧力をかけ続けた。そして、腰を落としての我慢。栃ノ心ももう耐えることはできなかった。決まり手は「寄り切り」。横綱・稀勢の里が、大関・栃ノ心に対して横綱の意地を見せる好一番となった。

 この相撲を絶賛したのは、貴乃花親方だった。審判として土俵下から稀勢の里の相撲を見ていた。

 「表情も落ち着いていて頼もしい。今場所一番の気迫だった。左を差して自分の形。攻められても慌てない。とにかく威力、実力がある」

 貴ノ花親方のコメントは、多くの相撲ファンが、そして私が感じた思いを代弁してくれるものだった。さらに言えば、「こんな相撲が取れれば、もう大丈夫!」と思わせてくれる一番だった。

 それにしても稀勢の里は、何も語らない力士だ。今場所も勝っても負けても、ほとんど何も言わない。取り組みの後は「明日も集中してやるだけです」と言うだけで、余計なことは一切口にしない。その姿勢は、横綱になった時から一貫している。まずもって横綱になった時の口上からしてシンプルなものだった。

 「横綱の名に恥じぬよう精進致します」

コメント2件コメント/レビュー

青島健太 様

前略

 話題の多かった「9月場所」は、白鵬関の全勝優勝で千秋楽となりました。
 カド番の栃ノ心関も勝ち越し(9勝6負)、上位力士(横綱、三役力士)も概ね安定した勝ち星を挙げ、下位力士との実力の差を示すことになりました。(先場所とは大違いです)

 特に豪栄道、高安の2大関の健闘が光った場所だと思います。白鵬関との優勝争いでは2勝差となった11日目で、大勢が決した感がありましたが、13日目まで2勝差で追走したのは、大健闘と思います。(鶴竜、稀勢の里の両横綱の優勝争いからの脱落と比較し)

 今場所は、場所前から稀勢の里関の「進退問題」がクローズアップされましたが、稀勢の里関が10勝を挙げ、来場所への期待が高まっているというのが一般的な感想・認識と存じますが、青島さんはどのように思われますか?

 長期の欠場(8場所連続休場)明けで、10勝(横綱・大関戦は2勝2敗)は立派な成績と存じますが、千秋楽の豪栄道関との対戦に象徴されるように、黒星の内容が一方的(完敗の内容)なものが多く、また、白星の内容も際どい逆転勝ちの取り組みが2~3番あったと思います。

 そのような意味(取り組みの内容)では、8勝7敗、若しくは7勝8敗が、今場所の内容ではなかったか?と思います。(ケガの回復状況、勝負勘、体のキレ等が、今場所と同様な場合、来場所の稀勢の里関が心配です。)

                                         草々

P.S.

 白鵬関の全勝優勝、稀勢の里関の勝ち越し(10勝5敗)、栃ノ心関のカド番の勝ち越し(9勝6敗)といったことで、余り目立っていませんが、同じく休場明けの鶴竜関(横綱)の成績・内容を青島さんはどのように思われますか?

 終盤(11~15日目)の横綱・大関戦は、0勝5敗という結果です。殊にケガの影響で相撲内容が芳しくなかった、栃ノ心関、稀勢の里関に力負けした内容には。本当に大変、驚きました。(一方、千秋楽の白鵬関との取り組みは、力のこもった「がっぷりの四つ相撲」で、結果は呆気ない「送り出し」となりましたが、見応えがありました。)(2018/09/25 10:48)

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「稀勢の里と松坂投手、沈黙は力なり」の著者

青島 健太

青島 健太(あおしま・けんた)

スポーツライター

5年間のプロ野球生活の後、オーストラリアで日本語教師となる。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。現在は、鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の客員教授として教鞭をふるう。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

青島健太 様

前略

 話題の多かった「9月場所」は、白鵬関の全勝優勝で千秋楽となりました。
 カド番の栃ノ心関も勝ち越し(9勝6負)、上位力士(横綱、三役力士)も概ね安定した勝ち星を挙げ、下位力士との実力の差を示すことになりました。(先場所とは大違いです)

 特に豪栄道、高安の2大関の健闘が光った場所だと思います。白鵬関との優勝争いでは2勝差となった11日目で、大勢が決した感がありましたが、13日目まで2勝差で追走したのは、大健闘と思います。(鶴竜、稀勢の里の両横綱の優勝争いからの脱落と比較し)

 今場所は、場所前から稀勢の里関の「進退問題」がクローズアップされましたが、稀勢の里関が10勝を挙げ、来場所への期待が高まっているというのが一般的な感想・認識と存じますが、青島さんはどのように思われますか?

 長期の欠場(8場所連続休場)明けで、10勝(横綱・大関戦は2勝2敗)は立派な成績と存じますが、千秋楽の豪栄道関との対戦に象徴されるように、黒星の内容が一方的(完敗の内容)なものが多く、また、白星の内容も際どい逆転勝ちの取り組みが2~3番あったと思います。

 そのような意味(取り組みの内容)では、8勝7敗、若しくは7勝8敗が、今場所の内容ではなかったか?と思います。(ケガの回復状況、勝負勘、体のキレ等が、今場所と同様な場合、来場所の稀勢の里関が心配です。)

                                         草々

P.S.

 白鵬関の全勝優勝、稀勢の里関の勝ち越し(10勝5敗)、栃ノ心関のカド番の勝ち越し(9勝6敗)といったことで、余り目立っていませんが、同じく休場明けの鶴竜関(横綱)の成績・内容を青島さんはどのように思われますか?

 終盤(11~15日目)の横綱・大関戦は、0勝5敗という結果です。殊にケガの影響で相撲内容が芳しくなかった、栃ノ心関、稀勢の里関に力負けした内容には。本当に大変、驚きました。(一方、千秋楽の白鵬関との取り組みは、力のこもった「がっぷりの四つ相撲」で、結果は呆気ない「送り出し」となりましたが、見応えがありました。)(2018/09/25 10:48)

自分が苦しい時で厳しい状況の中、何も言いわずに頑張る姿に感服します
人間自分に負け言い訳をしたくなると思うのですが、何も言わずに頑張る姿、心の強さ流石横綱と応援しています
横綱の責任感、重圧で押し潰れされ焦りも有る中、何も語らず頑張っての今場所良くやったと思います
私も53歳の時に中国で脳梗塞を発症し、左半身不随で歩く事も儘ならい状態で自分に負けそうになる中、自分に負けたら終わりと思いました。
その状態からこれから人生のやり直しと楽天的に考え、杖を頼りに歩き始め、毎日の苦しいリハビリを続け、60歳で初めてのゴルフ始め71歳の現在も中国を始め海外を往復しながら仕事を続けています
稀勢の里横綱は未だ若い和製横綱の今後の活躍を期待しています
頑張って下さい(2018/09/22 19:58)

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