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認知症になり介護を受ける前にやるべきことは?

老人ホーム・後見人の選定、夫婦問題に盲点が…

2018年1月31日(水)

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 何回か触れたことがあると思うが、私の本業は高齢者向けの精神科医である。

 認知症については、現在の医学では治療ができないので、どちらかというと問題行動などの治療(もちろんできるものとできないものがあるが)を行い、介護について、家族の相談なども受けている。

自分が認知症になった場合などに備え、自分の将来のためにどんな老人ホームがいいのかを調べる人はあまりいないようだ。(c)PaylessImages-123RF

 ただし、本来は家族の相談には医療保険が適用されない。そこで、川崎の病院では20年近く、患者を持つ家族を集めて対策について話し合う「家族会」(医者が定期的に参加する家族会はまだほとんどない)をやっているし、青山の山王メディカルセンターでは、どちらかというと富裕層対象に、保険外で介護相談などを行っている。レーガンやサッチャーが認知症になったことでも分かるように、どんなに社会的地位の高い人でもなる病気だが、それ故の悩みもあるからだ。

 認知症を防ぐ医学が可能なのか、可能であったとしてそれがいつくらいに実用化されるのかは不明だが、私の見るところ、今の50代は将来自分がボケることは覚悟しておいたほうがいい。テストの結果だけでの判断であるが、85歳まで生きると約半数が認知症になってしまうからだ。

 そこであまり嬉しくないことかもしれないが、私の経験から、自分がボケたり、寝たきりになったときのサバイバル術で知っておいてほしいことを書かせていただく。

入るホームなどを事前に調査

 57歳の私くらいの世代、あるいは親の介護で苦労した60代の人に話を聞くと、子どもに負担をかけたくないという人がかなり多い。子どもに残す財産が多少減っても有料老人ホームに入るとか、夫婦で介護をするが限界が来たら特別養護老人ホームやグループホームに入るということを考えているのだ。

 この発想はきわめて健全なものだと私は考える。せっかくキャリア形成がうまくいき、管理職なり、なんらかのリーダー的な役割を担っている50代くらいの女性が親の介護のために離職する(これは介護離職といわれる)のはあまりにもったいない。子どもを教育した親の立場から見ると、自分の教育がうまくいったのに、自分のためにそれを捨てさせることになり、それは忸怩(じくじ)たる思いだろう。

 最近は終活ブームで、生前に墓を買う人も増えたし、自分の葬儀の希望やプランニングなどをかなり早い時期に決めておく人もいる。また、将来の延命を望むかどうかを、中高年のうちから意思表示をすることも珍しくなくなった。

 介護については、漠然とホームに入るという人はいるのだが、親のためならともかく、自分の将来のために老人ホームがどんなところであるか、どこがいいのか、どのくらいの金がかかるのかを具体的に知るために見学などに行く人は非常に少ない印象を受ける。

 お金の問題がある場合、地方に行けば安くて良質なサービスを提供してくれるところも珍しくない。私の患者さんでも1000人では利かないくらいの数の人が最終的に施設介護を選んだ。20年以上にわたって、とある有料老人ホームのコンサルタント医をしているが、日本の場合はホームの質がピンからキリまであるし、例えば介護者の文化がホームによって違う。経営者の理念が大きいのだろうが、リーダーの優秀なナースや介護士が醸成していった文化が引き継がれることも多い。要するに入居金や月々の支払いが高ければ、建物や食事はその分いいかもしれないが、介護自体については高ければいいとは限らない。だから見学をマメにやっておいたほうがいいのだ。

 介護保険で受けられるサービスや、どのように申請するのかも知っておいたほうがいい。40歳以上は給料から介護保険料が天引きされているのに、親が要介護になってから慌てることが多いが、事前の知識は多いに越したことはない。日本の福祉サービスはそんなに悪くないが、みんなが使うと財政が破綻すると考えているのか、行政の側からサービス内容を公示することはない(パンフレットはあるが)。知らないと損なのが公的な介護サービスなのだ。

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「認知症になり介護を受ける前にやるべきことは?」の著者

和田 秀樹

和田 秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

精神科医。『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(自己心理学)などが専門。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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