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AI時代には夢を語る映画監督的な能力を磨こう

着想があれば何でも実現する愉快な時代が来る

2017年2月9日(木)

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 久しぶりに映画を撮ることになり、能登に来ている。15歳で集団レイプを受けた女性の20年後の手記である『私は絶対許せない』という本を映画化するためだ。

 かなりハードなシーンが多いので、主演女優は新人に近い人だが、昔からファンだった佐野史郎さんや美保純さん、東てる美さんに出てもらうことができた。また、黒澤明監督のお気に入りと言われた、名優の隆大介さんに重要な役をやってもらえることになった。

(写真:©Jakub Gojda-123RF)

 それに勝るとも劣らずスタッフが優秀で、寺島しのぶがベルリンで主演女優賞をとった『キャタピラー』の脚本家の黒沢久子さん、『ラヂオの時間』で日本アカデミーの優秀撮影賞を受賞しているカメラマンの高間賢治さん、北野武作品のほとんどを手掛けている太田義則さんが編集、そして世界的音楽家の三枝成彰さんが音楽を作ってくれるということで、現代の日本映画ではベストの布陣で臨むことができた。

何の才能がなくても、映画なら思いをスタッフが具現化してくれる

 自慢するわけではないが、47歳で初めて撮った『受験のシンデレラ』ではモナコ国際映画祭でグランプリをいただき、2本目の『「わたし」の人生』では同じ映画祭で、人道的作品監督賞を含めて4冠をいただいた。今回も、なんとか海外の映画祭で受賞できないかということで気合を入れている。

 ただ、私が運よく受賞できたのは映画監督の才能があるからとは思っていない。実は、私が映画監督を志したのは、高校2年生のときだった。灘中学に5番で入ったものの、勉強が嫌になって成績は低迷していたし、その間に小説家を志すが挫折、留学の試験も落ち、また音楽も体育も図工もからきしできない。学芸会の頃から芝居は大の苦手という何の才能もない子供だったし、それを重々自覚しているのが余計つらかった。

 そんな私が、高校2年生の時に、藤田敏八という東京大学卒の監督が撮った『赤い鳥逃げた?』という映画を見て、自分でも撮りたくなった。この映画は、「29歳でもすることがなけりゃジジイだろ」といった、夢を失ったやさぐれ男の心情を見事に描いたもので、まさにすることを見失い「17歳のジジイ」になっていた私の心情にものの見事にフィットするものだった。

 それ以上に私が着目したのは、スタッフだ。脚本はジェームス三木さん、撮影は日本アート・シアター・ギルド(ATG)の名作を撮り続けた鈴木達夫さん、音楽は後に世界的音楽家となる樋口康夫さんという最強の布陣だった。そこに原田芳雄さんと桃井かおりさんがお芝居を重ねるのだから、素晴らしい作品になるのは当然予期できる。

 そのときに、何の才能もない私でも、映画なら自分の思いさえあれば、それをスタッフや役者さんが具現化してくれるのではないかと思ったのだ。そう思った矢先に日活という映画会社が助監督の採用をやめたので、自腹を切って映画を撮るしかないと思って、実入りがいい医学部を志望するきっかけになった。しかし、結局は学生時代にチャレンジした自主映画も段取りが悪かったため、半年で半分も撮ることができず、結果的に頓挫した。

コメント4件コメント/レビュー

俳優やスタッフのすべてを「さん」付けで引用する中で、寺島しのぶのみ「さん」を付けない理由は何だろう?   すこうし違和感あり。ドラえもんと同等だからかな?(2017/02/10 00:51)

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「AI時代には夢を語る映画監督的な能力を磨こう」の著者

和田 秀樹

和田 秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

精神科医。『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(自己心理学)などが専門。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

俳優やスタッフのすべてを「さん」付けで引用する中で、寺島しのぶのみ「さん」を付けない理由は何だろう?   すこうし違和感あり。ドラえもんと同等だからかな?(2017/02/10 00:51)

自分には全能の才があると勘違いしている、おめでたい無能な輩の駄文はいらない。(2017/02/09 16:31)

AI時代に限った話でなく、『思い』の強い人が自己実現をするものだと思います。実際に私も中国映画の翻訳家になりたいと思い始めてから10年以上経ちますが、中国映画を観続けてはいますが、翻訳家になるための行動は全くしていません。思いが足らないことには自己嫌悪になることがしばしば有ります。和田先生の言うような大そうな話でなくても、自分自身で『思い』を持って生きることが人生を充実にする秘訣だと思います。(2017/02/09 10:01)

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