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新人に贈るストレス知らずの思考法とは?

「完全主義」「二分割思考」に要注意!

2018年3月30日(金)

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 春はメンタルヘルスのためには大切な時期である。

 日本では、新入学や新入社の時期であり、新しい環境への適応がすんなりいかないことも珍しくないし、人間関係への不安もあるだろう。それがストレスになる人は少なくない。またそのために転居することがあれば、それがさらに適応を難しくすることもあるだろう。新入学や新入社の人でなくても、学年変わり、年度変わりの時期でもあるため、異動やクラス替えなど、やはりその適応が困難になるだろう。

日本では、新入学や新入社の時期であり、新しい環境への適応がすんなりいかないことも珍しくない。ストレスをためないための思考パターンとは?(画像=Shojiro Ishihara-123RF)

 4月の新入学、新入社、異動などの時期に精神的な不調を来す人だけではない。それから約1カ月ほどたって、少し落ち着いた頃、職場やクラスの新しい環境に慣れた頃に無気力や抑うつ気分などの症状が現れることも少なくない。これがいわゆる五月病である。

 今回は、春を迎えるにあたってメンタルヘルスの不調をどのように予防し、どのように対応するかについて考えてみたい。

若い人、軽い病の人は薬が効きにくい

 精神医療の発達した昨今、この手の不調があれば精神科や心療内科の医者に行けばよいと考える人も増えてきた。これは、基本的に歓迎すべき考え方で、特にうつ病は長期間にわたる神経伝達物質の異常が脳の神経細胞に悪影響を与えることは知られているため、早期発見、早期治療が望ましいとされている。

 現実に、2006年の自殺対策基本法の施行後、「お父さん、眠れてる?」のポスターなどで、うつ病の早期発見について啓蒙(けいもう)を重ねたところ、年間3万3000人近くいた自殺者を、現在は年間で1万人以上減らすことに成功している。

 ただ、最近は軽症うつ病、あるいは若年者のうつ病に関しては薬物療法に慎重な意見が出てきている。例えば、ある種の抗うつ剤がかえって自殺率を高めることが明らかになったり、アクチベーション・シンドロームという奇妙な副作用が問題になったからだ。このアクチベーション・シンドロームというのは、イライラや不安感が高まったり、躁状態になったりするというもの。死にたい気分の人に奇妙な高揚感が生じ、ひどい場合は多くの人を道連れにしたいという欲求が生じる。

 実際、池田小学校事件や秋葉原事件、コロンバインの乱射事件などで、犯人がこの薬を飲んでいたことが明らかにされている。また、軽症うつ病に関しては、薬単独での有効性のエビデンスが十分でないことから、うつ病学会のガイドラインでも「安易に薬物療法を行うことは厳に慎まなければならない」とされている。

 また、若年者に関しては厚生労働省が、24歳以下の患者の場合は自殺関連行動が増えることや、17歳以下では有効性が確認できなかったという喚起文書も出している。

 ということで、少なくとも国際的には(日本でも心ある医者は)、軽症や若年者のうつ病には、薬よりカウンセリング的な治療がトレンドとなっている。

 そのトレンドの中で、最も有効性が確認されたものとして、アメリカの保険会社や日本の厚生労働省が保険適用にしている治療法に認知療法がある。

 うつ病になると悲観的になるが、その悲観がよけいにうつを悪くする。そこで、ペンシルバニア大学のアーロン・ベックという精神科医がその悲観に根拠がないことを患者に分からせ、悲観的な認知を変えていくと、逆にうつがよくなることを発見させる治療を始めた。それまでは、悲観はうつ病の症状なので、もとの病気であるうつを治さないと、症状に働きかけても意味がないと考えられていた。肺炎で熱が出ている人に、熱冷ましを出しても意味がなく、肺炎のほうを抗生物質で治すのが本質的な治療というのと同じことである。ところが、症状に働きかけてもうつが治るのである。

 その後は、うつ病のきっかけになるのもうつ病を悪化させるのも不適応思考のせいだと考えられるようになった。例えば、味方でなければ敵という二分割思考を持つ人は、味方だと思っていた人がちょっと批判するだけで敵になったと思ってしまうので、落ち込みやすい。またうつが少し良くなっても、完全に治らないと治ったと思えないので、なかなかうつが改善しない。そういう際に、二分割思考を修正していければうつの予防にもなるし、治療にもなるという考え方だ。

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「新人に贈るストレス知らずの思考法とは?」の著者

和田 秀樹

和田 秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

精神科医。『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(自己心理学)などが専門。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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