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「内部昇進+傍流」だから巨大企業を変革できた

『Hit Refresh』から読み解く、マイクロソフトのしたたかな復活戦略(第1回)

2018年1月9日(火)

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Windows OSの圧倒的シェアを背景に、IT業界の頂点に君臨していた米マイクロソフトだったが、モバイルやクラウドなど新規事業への対応の遅れという高シェア企業が陥りがちのパターンにはまり、社内には停滞感があった。そんな中、2014年2月にCEOに就任したサティア・ナデラは、組織文化の再構築を最優先事項に掲げ、数々の改革に取り組んだ。その結果、マイクロソフトは再び輝きを取り戻しつつある。そこで、企業戦略分析の専門家でIT業界に詳しい早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授に、ナデラの近著『Hit Refresh』を通じて、ナデラの経営手腕とマイクロソフト復活戦略を分析してもらった。根来教授によると、日本の企業経営者にも、参考になる点がたくさんあるという。

 マイクロソフトのCEO、サティア・ナデラの近著『Hit Refresh』からは、これまであまり知られていなかったナデラというインド人経営者の人となりや経営哲学、Windows中心からクラウドファーストに舵を切ったマイクロソフトの戦略転換の様子が、リアルによくわかる。

 経営者、戦略、企業文化という3つの視点から、『Hit Refresh』に描かれているナデラとマイクロソフトを私なりに分析したいと思う。

ナデラは「サラリーマン経営者の星」

 本を読んで最初に感じたのは、ナデラは日本企業の社長にも多い「サラリーマン経営者」であるということだ。インドで生まれ育った彼は、米国の大学院を出てサン・マイクロシステムズに技術者として入社した。その後、マイクロソフトに転職し、比較的若くしてWindows NTのエバンジェリストになり、検索エンジンのBing、クラウドの各責任者などを経て、CEOに昇進した。新卒ではないけれど、若手技術者として入社して、同じ会社の中で内部昇進していった点が、日本の大企業の多くの経営者と共通している。

 前任者で2代目CEOのスティーブ・バルマーが突然、辞意を表明し、マイクロソフトでは新CEOの選考が始まった。その過程では、ナデラなどの内部にいた幹部のほか、外部の有名企業で活躍した「プロ経営者」の名も候補に挙がっていたという。

 次期CEOの選考には時間がかかった。スティーブが辞任の意向を表明して世間を驚かせたのは、2013年8月。会社の大規模な再編を主導した直後、フィンランドのスマートフォン・メーカー、ノキアの携帯電話事業を72億ドルで買収すると発表する直前のことだった。その年の秋、新聞記者たちは後継指名される人物を推測し、さまざまな名前が飛び交った。フォード・モーターのCEOだったアラン・ムラーリーのような社外の人間なのか、スカイプのトニー・ベイツやノキアのスティーブン・エロップなど、マイクロソフトが買収した企業の幹部なのか。選考対象になった私たちマイクロソフトの一部の社員はその頃、取締役に向けて自分の考えを書面で表明するよう求められた。(『Hit Refresh』chapter 3より)

 その頃のマイクロソフトは、モバイルやクラウドでグーグルやアマゾンの後塵を拝し、業績自体は悪くなかったものの、成長という面ではライバルよりも明らかに劣っていた。社内では組織間の権力闘争でギクシャクし、WindowsやOfficeなど高シェアの分野があるがゆえに、新しい分野、技術への取り組みがおろそかになっていた面があった。

 つまり、大きな変革が求められる時期だったわけだ。そんな時に、取締役会が内部昇進のナデラを新CEOに選んだのは興味深い。

 組織や経営に変革が必要な時期には、外から「プロ経営者」をつれてきて、過去のしがらみにとらわれずに大胆に大なたを振るってもらうほうがいい、という考え方が根強くある。

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「「内部昇進+傍流」だから巨大企業を変革できた」の著者

根来 龍之

根来 龍之(ねごろ・たつゆき)

早稲田大学ビジネススクール教授

早稲田大学ビジネススクールのディレクター(統括責任者)と早稲田大学IT戦略研究所所長を兼務。ITと経営、ビジネスモデルなどを研究テーマとする。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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