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「3品」だけの繁盛店が商売の原点

大手にはできない個人店ならではの接客

2018年7月20日(金)

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居酒屋運営、楽コーポレーション(東京・世田谷)の宇野隆史社長は、本連載を基にした新刊『たった3品で繁盛店はできる!』を発売したばかり。そこで、今回は宇野社長が飲食の道に進むきっかけになった、本当に「たった3品」で繁盛していた店の話から語ってもらった。

 先日、『たった3品で繁盛店はできる!』という本を出して、繁盛店について聞かれる機会が多くなった。オレもさ、「たった3品で店ができるわけないだろ」なんて思っているんだけどね(笑)。

 でも、大学時代によく行っていて、オレが飲食業界に入るきっかけとなった下北沢の店は、まさに「3品」で成り立っている店だった。おでんとオーブンで焼いた鶏と煮込みの3つ。これに、おしんこしかメニューがなかったんだよね。それなのにいつも店は満席だった。

 3品しかないけど、それぞれがすごく魅力的でね。おでんは、近頃ではもう見かけないすごく大きな業務用のおでん鍋に入っていてさ。鶏は、店の真ん中に据えられた煙突付きの古いオーブンで焼くの。「タレにする? 塩がいい?」って味付けを選べてね。鶏を焼くのに20分ぐらい時間がかかるから、おでんや煮込みというすぐに出せるメニューを用意していたんだろう。

 それからさ、その店は生ビールを置いていたの。1960年代だから、生ビールを飲める店なんてほとんどなかった頃のことだ。それが山手線の外の街の小さな店なのに、内部がタイル張りの大きな専用の冷蔵室があってさ。ドアノブをきゅっと回して重い扉を開けるとそこから樽を出してきて、オレたちによく冷えたビールを出してくれた。

 でも、内装には本当にお金をかけてなくて、オーブンからもうもうと煙が出るから、家庭用の換気扇が店の天井近くでいくつも回っていてさ。こんな作りでも店は繁盛するんだって思ったよね。

 小さい店はメニューを絞り込んで、その分接客に力を入れた方がいい。個店の強みっていうのは、なんと言っても顔が見える店主がいることなんだからさ。20も30も力を入れた料理を作っていたら、お客さんを接客で楽しませる余裕がなくなるでしょ。たくさんメニューを揃えると、1日に2皿しか出ないなんて料理も出てくる。それを営業前に必死に仕込んで疲れちゃったら、もったいないよね。

楽コーポレーションのOB、林見吾(はやし・けんご)氏(写真中央)の店「イザカヤ ワダチ」は今年5月、東京・調布にオープンした。林氏はソムリエの資格を持っているが、店は「ワインだけじゃなく、焼酎もハイボールもあって、週1度来てもらえるような気軽な居酒屋がテーマ」と言う。写真左奥に見える野球のバットは、なんとペッパーミル。お客さんを楽しませる演出の一つ(写真:大塚千春)
「イザカヤ ワダチ」では耐熱フィルムで包んだ食材を鉄板で調理する。透明なフィルムの中でぐつぐつと調理される食材がお客に見えるため、シズル感が出る。提供時には、お客の前でフィルムをさっと切って提供する。とたんに湯気が立ち上り、お客の歓声を誘う(写真:大塚千春)

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「「3品」だけの繁盛店が商売の原点」の著者

宇野 隆史

宇野 隆史(うの・たかし)

楽コーポレーション社長

78年、楽コーポレーションを設立し、東京・経堂に居酒屋「くいものや汁べゑ」などを開く。88年、株式会社に改組し、社長に就任。現在は、首都圏に約20店を展開する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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