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文法は必要?不要? 英語教育の最前線(2)

文法信仰の時代は終わりつつある

2018年2月10日(土)

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 文法は必要か不要か。これは、100年以上にわたって繰り返されてきた議論です。面白いことに、歴史を見ると、この議論は何度も両サイドの間を行き来しています。しかし21世紀に入った今、その長年の議論も、ついに決着が付きつつあるように思います。

 結論を先に言うと、今後は「最小限の文法」という発想になっていくと思います。

 なぜでしょうか? やはり大きな理由は、文部科学省が4技能を目指すという方針を明確に打ち出したことでしょう。読む、聴く、書くまでは文法ルールを無理やり適用しても何とかクリアーできますが、話すについては、指導方法の根本的な転換が必要になります。

 なぜかというと、「話す」となると、当たり前ですがどうしても英語を口に出して言う訓練が必要になるからです。「言葉を口に出す」なんて当たり前だと思う人もいるでしょうが、読む、聴く、書くまでは、英語をわざわざ口に出さなくても身に付けることが出来ます。その、いわば「隠れ蓑」に隠れて、音読もせずに英語を指導してきたというのが、日本の多くの英語教育の実態だったのです。

 ところが、「話す」という要素が加えられると、これはもう口に出すしかなくなります。黙っていては話せるようになるはずがないからです。しかも、言葉は口に出すと学習効果が全体的に上がります。ですから、この一手の持つ意味合いはとても大きいと言えます。

 もう1点「話す」という要素を入れると変わることがあります。それは、文法の知識は役立つどころか邪魔になることが多いということが、実感として分かるようになるのです。

 文法についてもたくさん学んだが、いざ話そうとすると一言も言えない……。そういう体験はだれにでもあるはずです。これは、ルールを学び、ルールを使えるようにすると、言葉は使えるようになるというこれまでの考え方(要素還元論)には、じつは致命的な欠陥があるからです。

 その欠陥とは、この考え方で言語を操ろうとすると、膨大な計算が必要になり、頭がフリーズするということです。書く場合であると、時間が取れますので、一つひとつ頭の中でルールを確認してチェックすることが可能ですが、「話す」となるとリアルタイムでの処理が必要ですので、その問題点が露わになるわけです。

スピーチと英会話は別

 ところで、一つ知っておくとためになるのは、スピーチと英会話は別のものだという点です。どこが違うかというと、前者では相手とやり取りする必要がなく、自分のペースで話せますが、後者では相手がいるため、情報のやり取りが著しく複雑になります。

 これも実感している人がたくさんいるはずです。営業の決まり文句的な英語は比較的スムーズに話せるのに、一緒に飲みに行くと途端に巨大な壁にぶち当たる。これが、スピーチと会話の違いです。ちなみに、今英語教育界で話題になっているCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)においても、この二つははっきりと区別されています(※)

(※)私の英会話教材においても、この違いを踏まえた作り込みがなされています。

コメント17件コメント/レビュー

日本語ネイティブの脳は言わば「日本語OS」しかインストールされていないPCのようなもので、そこで英語アプリを動かそうと思ったら「変換ソフト」を噛ませるしかない。それが「英文法」です。バグやフリーズは付き物ですが、7割方動けば御の字、そういうものです。
一方、文法なしの会話教育はGoogle翻訳のようなもので、理論は分からないが膨大な例文パターンから推測を行う方式です。上手くいくとネイティブ並みのスムースな表現が出来ますが、支離滅裂な訳文が出来上がることが多いことも皆さんご存知の通り。
文法の要不要を100か0と極端に考えるのは効率的ではないですね。(2018/02/14 10:01)

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「文法は必要?不要? 英語教育の最前線(2)」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

日本語ネイティブの脳は言わば「日本語OS」しかインストールされていないPCのようなもので、そこで英語アプリを動かそうと思ったら「変換ソフト」を噛ませるしかない。それが「英文法」です。バグやフリーズは付き物ですが、7割方動けば御の字、そういうものです。
一方、文法なしの会話教育はGoogle翻訳のようなもので、理論は分からないが膨大な例文パターンから推測を行う方式です。上手くいくとネイティブ並みのスムースな表現が出来ますが、支離滅裂な訳文が出来上がることが多いことも皆さんご存知の通り。
文法の要不要を100か0と極端に考えるのは効率的ではないですね。(2018/02/14 10:01)

私は日本の英語教育が根本的に間違っていると思っています。言葉というのは他人とのコミュニケーションの手段でありながら、英語を話す、という機会がない。それは日本人が日本語で英語を教えるからであり、英語の先生は絶対英語のネイティブであるべきだと思っています。英語で英語を教えるようになれば、英語でのコミュニケーションが自然に生まれてくるはずであり、先生がネイティブであれば、正しい発音を身に着けることができるようになるでしょう。アメリカ人が日本語を勉強して、日本語を教えられるか、と考えただけで、日本の英語教育がいかにおかしいかわかると思います。(2018/02/13 17:16)

会話の能力は、文法や、語彙と言った知識を身に付ければ出来るようになるモノじゃない事は誰でも判っていると思います。外国語習得の価値の最大のものは異言語コミュニケーション能力の獲得のはずです。幼児が言葉を覚える時に文法を先に習うことなどありはしません。英会話の習得も、聴く、話すの反復練習をする環境を、願わくば幼少期から与えるに尽きると感じます。その方策は、テレビで、(とくにBS,CS) 外国語の映画、番組を原語と原語字幕を選んで見られるように放送する事を義務化する。小学校の低学年から、試験を課さない、英語会話の時間を設ける事。この2つだけ実施すれば、日本人の英語レベルも、実用になるところまで簡単に上がると思います。英文学や、英語学(文法含む)など一般人にとって無用な学習は、その進路を望む人だけに別に教育すればよい事でしょう。(2018/02/12 15:31)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官