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早期英語教育の可能性とリスク

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2018年5月26日(土)

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 先日、ある英会話教室の方から興味深い相談を受けました。それは、最近、いわゆるインターナショナル・プリスクールに子供を通わせていた保護者の方から、「リーディング」を伸ばすことはできるか、という問い合わせが増えているが何か良い方法はないかという内容でした。

 インターナショナル・プリスクールというのは、ごく大雑把にいうと、その名の通り、英語で教育を行う保育園・幼稚園のことで、三つのタイプがあります。一つ目はオールイングリッシュ、つまりすべての教育を英語で行うところ、二つ目はバイリンガル教育、つまり英語と日本語とで教えるところ、三つ目は日本語から英語へと徐々に言葉を切り替えていくところです。

 上の英会話教室に駆け込む方は、これらすべてのプリスクールのお子さんが含まれるということですが、なぜ今のタイミングで「リーディング」を何とかできないかという問い合わせが増えているのでしょうか。

英会話とリーディングの差異

 それは、(私が推察するに)英検の合格基準が変わったことと関連しているように思われます。これまで英検は、総合点で合否を判定していました。これであると、プリスクールに通っている子供は圧倒的に有利です。なぜなら、リスニングや英問英答で簡単に満点(あるいはそれに近い点)が取れてしまうからです。そのため、基準の改変前には、英検準2級合格を目標にしているようなプリスクールもありました。ところが、新しい基準では各技能で一定のレベルをクリアーしなければならなくなったため、事情が大きく変わってしまったのです。

 幼い子供たちは音声にとても敏感で吸収力が高いです。ですから、英語漬けに近い環境にいると、聞き取り力や会話力はどんどんと伸びます。ところが、リーディングは、なかなかそうはいきません。文字をしっかりと認識し、その意味を理解する必要があるからです。また、これは、国語について考えれば簡単に分かることですが、意味内容についても、リスニングよりリーディングの方がレベルが高く、その傾向は年齢が上がるにしたがってどんどんと開いていきます。なぜかというと、スピーキングと違い、リーディングの場合には情報が文字として残るからです(※)。

(※)視覚は聴覚の10倍程度の情報を処理しますので、「文字として視覚的に残る情報」は深く複雑になります。

 さて、話を戻しますと、私は上の相談を受けてかなり頭を絞ったわけですが、残念ながら答えは「不可能」でした。

 アメリカやカナダであると、プリスクールを終え小学校に上がっても、日常生活はすべて英語で、学校でも理科や社会などすべての科目が英語で教えられます。ですから、単に日常会話だけでなく教養や、文化、慣習などもすべて英語を通じて身に付いていきます。しかし、日本であるとそうは行きません。プリスクールから小学校に上がったとたんに、「日本語の学習環境」に飛び込むことになります。

コメント8件コメント/レビュー

個人の能力を無視して早期教育の是非を0か100かで判断するのは適切ではないと思います。
低スペックのPCではソフトがコンフリクトしてしょっちゅうフリーズするように、優秀な頭脳を持った子は英語・日本語を両方ネイティブとして駆使できるのに対し、そうではない頭脳を持った子はどちらも中途半端になるということでしょう。早期教育に当たっては我が子の能力を客観的に判断することですね。(2018/05/30 07:58)

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「早期英語教育の可能性とリスク」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

個人の能力を無視して早期教育の是非を0か100かで判断するのは適切ではないと思います。
低スペックのPCではソフトがコンフリクトしてしょっちゅうフリーズするように、優秀な頭脳を持った子は英語・日本語を両方ネイティブとして駆使できるのに対し、そうではない頭脳を持った子はどちらも中途半端になるということでしょう。早期教育に当たっては我が子の能力を客観的に判断することですね。(2018/05/30 07:58)

会社の仕事で翻訳(日本語から英語)するときに感じるのは、日本人は日本語が書けていない…ということです。日本語が正しく書ければ、自動翻訳機も80%くらいの精度で変換してくれます。普段会話している日本語はあくまで口語であって、文法的に正しいとはいえません。そこに気が付いている人は、英語も(たどたどしくても、簡単な単語だけを使っていても)ちゃんと使えています。つまり言語センスの問題だと思います。会話力やリスニングはそれなりに練習すれば身に付きます。でも言語センスは教えたからすぐに身に付くものでは無いですし、これは語学力とは違う能力です。また語学力とコミュニケーション能力は違います。語学ができなくても、身振り手振りや筆談などを通じて相手と意思の疎通は図ることができます。今後、自動翻訳機の機能が上がってくれば語学力は不要になっていくのかもしれませんが、言語センスとコミュニケーション能力は翻訳機に頼れません。本質は「そこ」だと思います。(2018/05/29 09:44)

子供の早期外国語教育に否定的な同僚がいて、日本語を高度にマスターしてからでなければ英語はやらせないと言って避けていました。その時は母語も外国語もあやふやになるというのは、外国語習得とは別の問題(海外赴任による就学状況の変化の影響など)だろうと思っていましたが、何か国もの多国語が堪能でも、仕事の能力はからっきしダメダメな人がいることも聞いたこともありました。こうしたことが起きるのは脳の発達過程で複数言語環境の影響などに原因があるのかもしれませんね。そうであるとしても、多国語を話し思考能力も優れた方もいるのは事実なので、外国語会話の早期教育だけが悪因でもないように感じます。その辺りのことは、言語教育だけでなく脳科学と合わせて解明されることを期待したいものです。(2018/05/28 10:11)

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