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TOEIC400点でも海外とバリバリ仕事する会社

ESP(専門分野の英語)が教えるもの

2018年6月9日(土)

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 「英語で仕事をする=まずはTOEICで実力を評価」―――これが世間の常識です。ところが実際の話として、技術者のほとんどがTOEICのスコアが300~400点程度とあまり高くないにもかかわらず、海外と英語でコミュニケーションを取り、仕事をこなしている会社があります。

 私が初めてこの会社のことを知ったのは、ご縁があって社員の方のご子息に英語の手ほどきをしたときでした。その生徒は理系志望でしたが、数学や化学などはできるのに英語が壊滅的にできず、そのために浪人していました。英語ができない理由は、よくあるパターンで、文法が理解できなかったのです。

不思議なギャップはなぜ起こる?

 微積やベクトルの問題をスラスラと解き、ベンゼンの誘導体をズラリと並べて書くほど優秀なのに、文法が理解できない。このギャップは不思議です。でも、それにはきちんとした理由があります。文法というのは、論理整然としているようでじつはそうではないからです。たとえば、ing形。もし、お手元に文法書があればご覧になって下さい。同じ形なのに、文法の分類名は5~7種類もあり、しかも「重複」があります。

 話をさらにややこしくするのが5文型です。じつは、子供たちは中学校3年生になった段階ですでに基盤となる英文はすべて読解できる状態になっています。あとは、それを応用的に展開すれば話は終わるわけですが、どういうわけかそこに5文型が割り込んできて、「これはCだから」などという解説が始まるわけです。それも、「I’m happy. はSVC、でもHe runs fast.はSVなので注意しよう」などとなるので、学習者は戸惑うしかなくなるわけです。とくに、論理的に物事を考える人ほど、その傾向は強くなります。

 話を戻すと、私はその生徒に対して、①語彙を増強する、②(このコラムで何度か紹介している)「受信文法」の発想を教えリーディング力を鍛える――という2本柱を基礎においた上でリスニング力などへとつなげていき、志望校に通しました。ところが、話はそこで終わらなかったのです。

技術者の英語力とTOEIC

 子供の快挙に喜んだ社員の方がどこかでその話をしたようで、なんと、彼の会社の役員の方から連絡が入ったのです。その方が言うには、会社では機械類の製造・輸出をしているが、技術者の英語力が低く、コミュニケーションがうまく取れない、なんとかならないかということでした。

 実は、その方はその方なりに対策を取っていて、会社で費用を負担してTOEICの講座を社員に受けさせていたのです。ところが内心600点ぐらいはすぐに取ってくれるだろうと期待していたにもかかわらず、300~400点の間を行き来するばかりで一向に伸びなかったのです。

 私が直観的に思ったのは、「対策自体が誤っている」でした。機械類を扱っているということは、摩擦係数や加工精度、金属疲労、素材の耐熱特性などの用語が行き交っているはずなのですが、TOEICにそのような語彙は出てきません。また、日常会話についても、初心者が本当に必要な、「短くてすぐに使える会話表現」もTOEICには出てきません。

コメント19件コメント/レビュー

英語力を測る物差しとしてTOEICを見た場合、かなり優れたものだと思います。TOEICで見ているのは、基本的には「英語の反射神経」で、比較的難易度の低い英語をいかにすばやく処理できるか、ということです。昔であれば、会話はできないけど、読み書きなら何とか。。。という人は多かったですが、今は読み書きでもチャットのように速さを要求されるコミュニケーションが増えています。

頭の中で、英語と日本語の翻訳をせずに、いかに英語で完結して処理できるか、という非常に実用的な能力を、複雑な文法とかを抜きにしてテストしているのがTOEICの優れた点だと思います。(2018/09/05 18:52)

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「TOEIC400点でも海外とバリバリ仕事する会社」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

英語力を測る物差しとしてTOEICを見た場合、かなり優れたものだと思います。TOEICで見ているのは、基本的には「英語の反射神経」で、比較的難易度の低い英語をいかにすばやく処理できるか、ということです。昔であれば、会話はできないけど、読み書きなら何とか。。。という人は多かったですが、今は読み書きでもチャットのように速さを要求されるコミュニケーションが増えています。

頭の中で、英語と日本語の翻訳をせずに、いかに英語で完結して処理できるか、という非常に実用的な能力を、複雑な文法とかを抜きにしてテストしているのがTOEICの優れた点だと思います。(2018/09/05 18:52)

技術者の英語力の話になった時によく出るのが「技術者同士は図面を描いて話をすれば、英語ができなくても通じる」ということですが、これも通用しなくなりつつある考えだと思います。答えが決まった内容について、ただ伝達するだけであれば、それでも通用しないこともないですが、答えのないものを新たに作り出そうとする場合、深い議論が必要になります。今の時代は、技術者が技術の殻に閉じこもるのではなく、ビジネスを切り開くことも当たり前で、ビジョンを示す力、プレゼンテーションをする力など、相手を引きつけ、説得することが求められるようになってきています。それを、日本語が分からない相手に対してもやる必要があるわけです。

技術者に求められる英語力は明らかに変ってきています。(2018/09/05 18:49)

これがTOEICの話になると、TOEIC400点のAさんと、600点のBさんが英語で仕事をした時に、Bさんの方がより会話ができているので、TOEICの点は関係ない。そういう主張をする人が一定数出てくる。Bさんの方が社交的なだけかもしれないし、Bさんの方が仕事を良く知っているので、よくしゃべっているのかもしれない。
あるいは、自分はTOIEC400点だけどずっと英語で仕事をしてきた、と。でも、その人が600点取れるようになれば、よりスムーズに、より深い会話が英語でできるようになるはずなのです。(2018/09/05 18:46)

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