• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

スピーキングテストの導入の行方

革新の前夜か破綻の始まりか

2018年8月18日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(写真=PIXTA)

 現在、英語教育の現場で大混乱が起きています。それは、スピーキングテスト導入に関する論争です。日本では大学入試などで、2020年より民間試験を活用したスピーキングテストの実施が公的に決定されました。しかし、大学側がその方針に疑義を唱えるという事態になり、2018年半ばの今になっても方針が定まっていません。実施の規模やタイミングを考えるとこれは異常事態です。今回はこの問題について触れてみたいと思います。

スピーキングテスト導入の意義

 まず、スピーキングについて日本人の能力が極端に低いという点は、種々の統計が出ていますし、実際に外国人とのコミュニケーションの中で実感している人たちもたくさんいると思います。私なども仕事柄外国人の生徒や学生と話すことがあるわけですが、日本人の生徒・学生のレベルと比べると、残念ながら彼らの英語運用能力の方がはるかに高いことが多いです。

 一例として思い出すのは、いつだったかに、南アジアから来た高校生と話す機会があったときです。その生徒は日本の国公立トップレベルの学生でも到底歯が立たないと思われるレベルの英語を話しただけでなく、論理明快な文章までもを書いてのけ、私を唖然とさせました。

 いずれにせよ、世界有数の経済規模を持つ国が、総合的な英語運用能力で明らからに後れを取っており、とくにスピーキングが壊滅的に弱いという状況を、これ以上看過できないという判断自体は妥当なものだと思えます。

 振り返ってみると、10年前のリスニングテストの導入の際にも、様々な意見が飛び交いましたが、結果的に見るとこの判断は誤っていませんでした。なぜなら、これによって全国の様々な試験にリスニングテストが広く普及し、授業の中にもリスニングの訓練が取り入れられていったからです。言葉というのは、まず第一に音声です。それがないと意味をなしません。これは、「読み」の分からない言葉(音声化できない言葉)をいったいどう学習するのか? という、とてもシンプルな(しかし深い)話です。

リスクファクタ――1 

 ところが、どういうわけか、リスニングテストの導入の際と異なり、このたびのスピーキングテストの導入は、かなりラフな事の成り行きになっているという印象を拭えません。なぜなら、民間試験は、それぞれが異なった目的を持ち、異なった基準でスピーキング力を判定しているからです。

 たとえば、TOEIC(※)は、ご存知のとおり、ビジネスパーソン向けのテストで、ビジネス関連の話題が扱われています。一方で、TOEFLは明確にアカデミックな内容のテストで、両者は全く異なった目的で制作されています。ちなみに、制作しているのは同じ会社です。

(※)このテストに対して、高校生が受験勉強をするというのは、少なくとも私には想像できません。対策用には、新形式公式問題集が使用されるのでしょうか。

オススメ情報

「日本語を活用した英会話習得法」のバックナンバー

一覧

「スピーキングテストの導入の行方」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

私がじゃなくて、神様が見ても、 誰が見たって(リニアは)いけるんです。

葛西 敬之 東海旅客鉄道名誉会長