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守りのガバナンスの重要性

東芝事件から考える監査法人のガバナンス

  • 牛島 信

バックナンバー

[1/5ページ]

2016年11月24日(木)

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 2015年はコーポレートガバナンス・コードが策定され、「攻めのガバナンス」の重要性が注目された年であった。

 しかし、それだけではない。その一方で、「守りのガバナンス」の重要性を再認識させる事件も起きている。東芝事件である。具体的には過年度利益の過大計上が発覚した不適切会計事件といわれる。

 この事件では、原因の一つとして会計監査人である監査法人による統制が機能していなかった点が指摘されている。上場会社の会計監査人である監査法人というものは、上場会社が開示する情報の信頼性を担保する存在であり、情報を利用する株主・投資家に対して責務を負っている存在でもある。たとえば、有価証券報告書などの開示書類の記載が虚偽であるにもかかわらず、虚偽でないものとして証明した監査法人には、虚偽記載を知らないで株式を取得した株主に対し、虚偽記載により生じた損害を賠償する責任がある(金商法21条1項3号、22条1項、24条の4)。

 東芝の事件を受け、政府も監査法人のマネジメントを問題視し、2016年の成長戦略において、監査法人のガバナンス・コードの策定を提言した。その後、2016年7月、金融庁に「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」が設置され、上場会社を対象とするコーポレートガバナンス・コードと同様、監査法人に対して、組織の透明性を確保し、説明責任を果たすことを求めている。

 さらに、東芝の不適切会計事件については、2016年9月、個人株主が当時東芝の監査法人であった新日本有限責任監査法人に対し、約105億円の損害賠償請求をするという動きがあり、今後の動向が注目されている。

 以下では、東芝の不適切会計事件を踏まえ、「守りのガバナンス」の重要性を再度認識すべく、会計監査人の在り方や、監査法人のガバナンスについて紹介する。

東芝の不適切会計事件について

 東芝の不適切会計事件とは、2015年7月、工事進行基準の適用にかかる会計処理などについて過去7年間で約1500億円の過年度利益の過大計上が発覚した事件のことである。当時の取締役8人、相談役1人が辞任し、歴代3社長が全ての役職について辞任する事態となった。証券取引等監視委員会は、東芝の歴代3社長に対し、有価証券報告書の虚偽記載の罪での刑事告発に向けて、精力的な事情聴取をさらに進めているといわれ、検察との最終的な詰めの結果が注目されている。

 当時の東芝の会計監査人は新日本有限責任監査法人(以下「新日本」という)であった。第三者委員会調査報告書によると、不適切な会計処理は外部から発見しにくい巧妙な方法で行われており、外部の会計監査人が発見することは困難であったという。しかし、会計監査人が何ら指摘をしなかったことが利益のかさ上げが長期化した一因となったとも指摘されている。もっとも、この第三者委員会調査報告書に対しては、監査法人が何も気づかなかったこと自体が不自然であることや、監査法人が知っていて黙認した疑いがあるといった批判が「第三者委員会報告書格付け委員会」によりなされている。

 また、自主規制法人がその直後「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」という原則を策定し、「不祥事の原因究明に当たっては、必要十分な調査範囲を設定の上、表面的な現象や因果関係の列挙にとどまることなく、その背景等を明らかにしつつ事実認定を確実に行い、根本的な原因を解明するよう努める」としているところである。

 先ほど述べた金融庁の「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」においても、東芝の事件における当時の監査法人について、以下の問題点が指摘されている。

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