今月のビジュアライゼーション

ロケーションデータ解析で検証、訪日外国人に人気の高い冬の北海道

2018.01.29文:神部律子=ナイトレイ、ビジュアライズ:金城海斗=同

訪日外国人に人気の冬の北海道。北国ならではの魅力がどう外国人を引き付けているのか、訪日外国人動向解析サービス「inbound insight (インバウンド インサイト)」を用いて、SNS投稿データ、周遊データ、消費金額データの3つの解析アプローチで探った。

 冬のニセコにはいたるところに外国人がいるという現象が以前話題になった。千歳空港や札幌市中心部から地図上での距離は近いのにアクセスが悪いという条件にもかかわらず、である。これはSNSなどで口コミや投稿が拡散された結果といえるだろう。

 Twitterや写真共有サイトのInstagramなどのSNSに投稿されたパブリックなビッグデータを基に、ロケーションや国籍を中心に解析することで、どの国籍の外国人がどこで、何をして、何を感じて、どのような移動をしたのかを把握できる。今回、冬の北海道を訪れた外国人観光客の動向を可視化した。

 その前に、北海道における日本人と外国人観光客の動態の違いについて触れておこう。北海道経済部観光局が発行する2016年度「北海道観光入込客数調査報告書」によると、日本人の宿泊者数は夏季休暇の時期に合わせて大きな山があり冬季は減少している。若年層のスキー・スノボ離れが影響していると考えられる。それに対し訪日外国人の宿泊者数はなだらかなカーブになっていて、夏季に集中することなく通年にわたり北海道を訪問している。むしろ冬の方が宿泊者数は多い。

北海道における日本人の宿泊者数と訪日外国人の宿泊者数。外国人の方が通年で北海道を訪問している。冬の方が宿泊者数は多い(出典:北海道経済部観光局 2016年度「北海道観光入込客数調査報告書」)

夏より冬に投稿数が多い

 夏と冬で外国人観光客の滞在場所に違いはあるのだろうか。ナイトレイ独自のSNS投稿解析技術を使い、外国人が滞在した市町村で彼らがSNSに投稿した内容を解析し、投稿数の多さを濃い色で表現した。

 2つを比較すると、夏よりも冬の方が広範囲でかつ投稿数も多いことが分かる。札幌や富良野といった有名観光地は通年で投稿が多いが、釧路、網走、稚内といった道東や道北の地域は冬の投稿が目立つ。「最北の地まで来た」「本当に美しい景色。言葉で伝えきれない」など写真とともに、冬の北国ならではの自然に触れたことの感動を共有している。

 タイやインドネシアのように雪が降らない地域からくる観光客の投稿内容を見ると、温泉の体験や雪景色などの自然が「また来たい」と思わせる観光資源なのは間違いない。

訪日外国人の夏のSNS投稿分布(2017年7月〜8月)。濃い色は投稿の多さを示す
訪日外国人の冬のSNS投稿分布(2016年12月〜17年1月)。広範囲にわたって分布しており投稿数も多い。札幌や富良野といった有名観光地は季節に関係なく投稿が多いが、釧路、網走、稚内といった道東や道北の地域は冬の投稿が目立つ

移動に伴い消費も動く

 次は、観光客がどのような移動をしているのかを、周遊データを使ってビジュアライズしてみた。ここではナビタイムジャパンが提供する、分析利用の許諾を得た外国人の移動実績データを活用している。千歳空港や札幌を起点に、室蘭、登別、小樽、函館を観光し、さらに日程に余裕のある観光客は、ラーメンという食体験のメッカとして知られる旭川、富良野、そして手つかずの自然を体感できる網走など道東まで足を伸ばしていることが分かる。

訪日外国人の周遊ルート(2016年12月~17年1月)。千歳空港や札幌を起点に、室蘭、登別、小樽、函館を観光している様子が分かる。一部の観光客はラーメンで知られる旭川、富良野、そして手つかずの自然を体感できる網走など道東まで足を伸ばしている

 消費についてはどうだろうか。スキー客には富裕層が多いことが特徴で、長く滞在し消費も多いと予想される。香港からの観光客をターゲットに、inbound insightのプランの1つ「訪日消費データプラン」を使って2016年12月のデータをビジュアライズしたところ、周遊データを裏付ける結果が得られた。色の濃さは消費金額の高さを表す。前出のニセコエリアが濃く表れていることが、スキー目的の滞在中に多く消費しているだろうという仮説と合致する。このように、外国人が滞在して移動するエリアには消費も生まれる。

訪日外国人消費金額(2016年12月)。対象は香港からの訪日客。消費金額を4段階で色分けした。濃い色は金額の多さを示す。周遊の様子を裏付けるように、訪れた場所でしっかり消費している。inbound insightのプランの1つ「訪日消費データプラン」を活用

 冬の北海道に外国人が多く訪れ、移動しながら自然を楽しみ、美味しいものを堪能して宿泊(消費)するという行動パターンをデータから検証することができた。受け入れる地域にとって訪問地としての魅力が増せば、雇用が増えるなど経済的な好循環が生まれる。データ分析・可視化はその一助になるだろう。

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