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Retty対談「回顧2018 外食」(後編)──サバ缶ブームは「食の活性化」「地方創生」の好モデル

女性の視点が新たな市場を開拓し、生産者の声はより高まる

写真:大槻 純一/構成:橋富 政彦 12.25.2018

「生産者もスターになりうる時代」

草深 飲食業界は長く人手不足だと言われていますが、国際化の背景にはそういうところも影響しているのでしょうか。それともグローバル化が進んだことが大きい?

大木 グローバル化の影響とレストラン側の意識の変化でしょうね。ちゃんとしたところは福利厚生もしっかりしていて、かつての飲食業界にあった修業時代の過酷なシゴキみたいなものはありませんよ。20代でデビューするシェフも多いし、そんなことをやっている暇もないというか。いい店にはやっぱりいい人材が集まっているし、客として見ていてもみんな楽しそうに仕事しているんですよね。それとSNSが浸透したことで、レストランや生産者側も意識を高めて自分たちで積極的に情報発信をするようになったことも大きいでしょう。

池田 魚の場合もこれまでは漁港や魚の卸、加工会社から消費者の手元に届くまでの過程がほとんど見えませんでしたが、今では産地がSNSなんかを使って情報を発信するようになって、料理人が直でやりとりができるようになるなどの変化が出ていると思います。

草深 今まではマスコミが取り上げるまでは知られなかったようなものでも、SNSを駆使して自分たちで情報発信できるようになったのは大きいですね。それでシェフだけでなく、「生産者もスターになるうる時代」になった、と。

大木 これまであまり注目されなかった仕事をしていた人たちも、しっかりと評価されることで自分の仕事に誇りを持てるようにもなりますよね。

池田 それは消費者にとってもいいことですよ。「美味しいものができる過程が可視化」されて、ちゃんと評価されることで、皆に喜んで食べてもらえることにつながりますから。そういう流れができないと、どうしても衰退していくし、それで実際に美味しいものが食べられなくなるような事態になるのは悲しすぎます。

大木 そこで3つめの注目のキーワードとして挙げたいのが「作り手側の発言力の増加」です。国際化の流れやSNSの浸透によって刺激を受けたシェフや生産者たちが、自分の立場を見つめ直してサステナビリティなどを意識した発言が今年はとても多かった。海外では日本に比べてシェフや生産者の社会的地位が高いし、同じように高い社会的責任を負っているんですよね。日本もそこに近づいてきたというか、全体的に作り手側の意識が高まっているし、実際に面白い行動に起こす傾向が見えてきたと思います。

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