ナウい飲みニケーション!

盛り上がる職場の裏には「飲みニケーション」があった!/VASILY(後編)

第1回 VASILY(ファッション情報アプリの開発・運営)

文:皆本 類 / 写真:菊池 くらげ 05.22.2017

何かと嫌われがちな会社での飲み会。ところが今や、最先端のスタートアップ企業ほど「飲みニケーション」に力を入れている。21世紀型の「ナウい飲みニケーション」の現場に足を運び、その実態をレポートするこのコラム。第1回はファッションコーディネートアプリ「IQON(アイコン)」を手がけるVASILYの取り組みをリポートする。

前編からの続き)

VASILYの社内飲み会「締め会」は、毎回レクリエーションと呼ばれる特別企画が盛り込まれています。取材したこの日のレクリエーションは、2月という季節を反映した「~VASILY女性社員が考える~あなたのステキなところベスト5クイズ」というバレンタイン企画でした。

この企画では、男性社員それぞれの長所について女性社員全員にアンケートを実施。結果を集計しランキング化した上で、穴埋め形式のクイズにしました。

社員を4つのグループに分け、制限時間内に空欄に入るものを回答。正解したグループにポイントを加算し、一番得点の高いグループに景品をプレゼントするというルールです
女性目線で答えられた「正解」が分からず、なかなか苦戦している男性社員たち
「人前で褒められる機会なんてめったにない」と、自分のランキングのスライドを撮影した男性社員も。撮影した画像は、スマートフォンの待ち受け画面に設定するそうです
女性社員から「その男性のイメージで選んだチョコレート」が贈呈されました。きめ細やかさが感じられる企画です

クイズを通して社員一同が本気で楽しんでいる様子が伝わってきました。

VASILY広報担当の坂井さん。前職は元客室乗務員。最初に締め会に参加した時、そのオープンな雰囲気に驚いたそうです

この日のレクリエーションを企画した女性社員の代表として、VASILYの広報・坂井さんにお話を伺いました。

「これまで行ったレクリエーションは、「人狼ゲーム」、それぞれの田舎の名産品を持ち寄った食事会、ハロウィーンパーティーなどなど。ポイントはレクリエーションを通じて、社員一人ひとりのキャラクターが浮かび上がり、お互いの理解が深まって、社員同士の絆も深まるようなイベントになるかどうかですね。また、レクリエーションを企画し、実施することで、社員みんなのコミュニケーション能力が鍛えられ、弊社では営業職はもちろん、寡黙なイメージのあるエンジニア社員たちも、ふだんのミーティングからどんどん発言するようになりました」

今回のイベントは女性社員全員が幹事でしたが、通常、幹事は異なる組織の社員を組み合わせた組織横断的なチームか、営業職、デザイナー職、エンジニア職など異なる職種の社員による混成チームになるよう工夫しているそうです。これにより、通常業務ではあまり接しない社員同士によるコミュニケーションを促そうというのが狙いです。

レクリエーションの中身は、社員の発案で決まります。今回のバレンタイン企画はある女性社員のアイデアでした。複数の女性社員が協力しながら、男性社員に取材し、その個性を考慮しながら盛り上がりそうなクイズを考案していく。この準備段階から既に大盛り上がりだったそうで、準備のプロセスそのものが相互理解の場になっていたことが読み取れます。

ポイント3:経営トップが率先して場を盛り上げる

終始笑いの絶えないレクリエーションの時間において、ひときわ鋭く、かつ気の利いたツッコミを入れて盛り上げていたのは、何と経営トップでした。VASILYの創業者で代表取締役CEOを務める金山裕樹さん自らが良い雰囲気をつくり出そうとしているので、「昭和な飲み会」で象徴されるような強制感は感じられません。

クイズのお題に対して、社員の誰よりもエッジの効いた回答を投げ続けるCEOの金山さん。社員が笑いをこらえる姿があちこちで見られました
金山さんにももちろん男性社員同様、女性社員からのチョコレートのプレゼントが。受け取り方は誰よりもチャーミングでした
「甘いもの(チョコレート)の後は、しょっぱいものを」。そんな主旨から、優勝したグループには、ポテトチップス36袋が贈呈されました

後半はCEOの金山さんによるランキングが発表されるなど、大盛り上がりの中で終了。外部からの参加者だった筆者は1時間半その場にいただけでしたが、それでも個性豊かな金山CEOと社員の皆さんへの理解が深まったような気がします。ここから考えると、締め会が備える効果は確かなものがあると言っていいでしょう。

そんな締め会は、終始オンタイムに進み、予定していた終了時間にきっかり終わりました。「楽しむところは楽しみ、締めるところは締める」。そんなメリハリがあるところにも、スタートアップ企業ならではのクールで楽しい「飲みニケーション」の進化形を見たような気がします。

こまやかな気配りが飲みニケーションを成立させる

締め会の場では雰囲気づくりに配慮するというCEOの金山さん。ムードメークに集中するためにあえてアルコールを摂取しないこともあるそうです

最後にCEOの金山さんに、締め会が果たしている役割についてお話を伺いました。

「僕たちが取り組んでいる仕事は、労働集約的なものではなくて、ひらめきやアイデアが資源となって、それを軸にどうやって他の人と巻き込んで、ビジネスのかたちに実現していくか、というものです。弊社では飲み会をチームビルディングと称していますが、飲み会やイベント企画を社員たちが企画し、自主的に行っていくことで、社員同士のつながりが活発化し、ひらめきやアイデアが生まれやすくなる土壌をつくっていきたいんです」

昭和の飲みニケーションを説明するときにはしばしば「課長が裸踊りをして盛り上げる」といった姿が描写されますが、21世紀のスタートアップ企業における飲みニケーションは、そんな場当たり的な盛り上がりは一切不要です。

目的を明確にした上で、組織のトップ自らがリーダーシップを発揮して、社員全員を巻き込んでいく。このようなビジョンの下で、飲みニケーションが新たなものへと生まれ変わりつつあります。

インターンを含めて約30名のVASILYのみなさん。2時間の飲みニケーションにお誘いいただき、ありがとうございました!