ネオンとオンナ

SNSにおける「モテ」と「非モテ」の踏み絵

“美人なのになぜか彼氏ができない”友達・めぐみ(仮名)の話

文:鈴木 麻友美 11.17.2016

スペックが高いのに彼氏ができないアラサー女子がいる。そこまでイケメンじゃないのになぜか女性が群がる男性がいる。なんで?と思うが、その理由はSNSの使い方に表れているように思う。「それは異性、萎えるがな~」な情報過多のパターンを分析してみた。

美人で育ちも性格もよく、ほどよく稼ぎ結婚願望もあるのに、なぜだか彼氏ができないという女友達がけっこういる。

一般的にそういう事象は「理想が高い」で片づけられることが多い。でも美人に対して「理想が高いから結婚ができないんだ」という指摘は、 柳は緑花は紅だからほっといてあげてほしい。

そのあたりは、人型ロボット・Pepperの父として有名な林要氏がつっこんだ分析をしていて膝を打ったので、まだ見てらっしゃらない方はお時間のある時にぜひに。

魅力的な異性は「プル型広告」である

じゃあ出会いというフェーズは完了している場合の、もうちょっと相対的な、というより相互的な問題ってなんだろう。

スペックがいいのに彼氏ができないという女友達のひとり、仮にめぐみ嬢とする。めぐみ嬢は、飲んだ翌日にはていねいな御礼メールをくれたり、レスも早くてマメ。そしてLINEで1回に送ってくる文章量が多い。5行以上あって時に改行もあり、その中に絵文字や顔文字もふんだんに使われている。

私は返信無精で、「こんな長いの送ってもらったのに、ウンとかスンで返すの忍びない。時間があるときにちゃんと返信しよう」と思ったまま、だいたい返信を忘れる。

そして申し訳ないビハインドな気持ちとともに、どうでもいい内容のLINEを彼女に送るのをためらったりする。なんというか地味にプレッシャーなのかもしれない。なんて弱い精神力だろう……。我ながらめんどくさい耐性が低すぎる。

でもふと思った。同性同士でこうなら、男だったらば割とすぐに「めんどくさい」思考回路に行くのでは、と。

かわいくていい子でも、その子にただ「返信する」だけの行為、それがめんどくさいと思ってしまったらおしまいである。ちなみにそのめぐみ嬢はしばしば、妻や彼女がいる男性を好きになりちょっかいを出しては玉砕し、なぜかその後自称「友達関係」をキープしていたりする。

たとえば。

ある朝とつぜんセルフィーとともに女子からこんなLINEが来る。

「おはよう~。私は今日プレゼンなの。寝ないで準備してた競合案件なんだけどね、そのクライアントのコーポレートカラーが黄色なの。だから珍しく全身黄色にしちゃった><。やりすぎかなぁ? どう思う? でもがんばるね☆!」

これに対して何か返信しなきゃいけない時、どこから拾っていいのかわからず、「黄色似合ってるね、かわいいよ」とか上滑りする返事を送りかねない。

サービス精神旺盛で、フェーストゥフェースの会話ではおもしろい女子ほど、こういう詰め込みまくりLINEをしてしまう人は多い。

めんどくさい耐性が低い私的には、どうでもいい情報でもいいから小出しにしてほしいと思う。

たとえば、めんどくさがりの人間でもできるキャッチボールはこんな塩梅である。

女:全身黄色で会社来た。ふなっしーて言われたわ

男:えっなんで?写真はよ

女:きょう競合プレゼンでさ~

男:美輪先生的ご利益狙いか

女:ちがうちがう、絶対勝ちたい競合プレゼンのクライアントのコーポレートカラーが黄色なの

男:えらいなーサラリーマンのカガミだなー

女:ほら(ここでセルフィー)

男:うわ~!想像以上に黄色だったわまじウケる

女:ひどい~

男:うそうそ、かわいいよ。かわいい

同じ「かわいい」に帰結するとしても言わされた感がない。君のそのアティチュード含めてかわいいよ、的な。

そもそも、相手に「珍しく」とか「実は」「意外と」とか「いよいよ」「ついに」と自分で言われると、言われた側は「知らんがな」という思いが脳を支配する。この「知らんがな」スイッチは急速に「相手を知りたい気持ち」を失せさせる。恋心とかどこかに飛んでいく。めんどくさい耐性が低い人たちにとってはなおさらだ。

この、長文改行LINEや「実は」「いよいよ」的自意識過剰投稿、どこに由来するのかというと芸能人のブログだと思う。SNSの勃興期に先駆けて芸能人ブログブームがあったので、私たち“素人”はSNSの発信時、知らず知らずのうちに彼ら芸能人の発信の仕方を下敷きにしてしまっていることがある。

元々人気と人となりへの認知があって、みんながその情報を渇望している芸能人たちは、「実は」や「意外と」と発信し、改行しまくることに大義名分がある。

でも私たちにおいては、己を知りたがるのは愛してくれている人くらいだ。それに無自覚で、芸能人型発信をすると「痛い人」になっていくというわけ。そうやって今日も「私事ですが」と前置きする人の投稿に、心の中で「公人か!」ボタンを押している。

ひるがえってSNSで気になる人とやり取りするなら、説明しきりたい気持ちはおさえて、相手にゆだねる遊びがほしい。質問やつっこみを引き出すのが相手を知る醍醐味だったりするし、逆にそこで何の質問もなければ、自分に興味がないんだなと引き上げることができ長期的に得策だと私は思うのである。

なんかの話に似てるなと思ったら、これは広告業界で一時よく言われた、プッシュ型広告からプル型広告へ、の話そのまんまだ。キャッチフレーズを盛り込んだ押し売りでなく、コンテンツそのものをよく見せて、相手から来るのを待つのである。

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