塩見なゆの「都境酒場」案内

赤羽「立ち飲み いこい支店」:赤羽立ち飲みを代表する老舗は、小銭で楽しめる大人の憩いの場

文/写真:塩見 なゆ 07.30.2018

東京・赤羽は曜日を問わず、日中からお酒を楽しむ人で賑わう街です。以前は近隣の事業所で働くお父さんたちが夜勤明けの疲れを癒やしている様子が多かったのですが、今や全国的に知られた“酒場の街”。その赤羽には都内各地から訪れる人々でいつも賑わっています。今回はそんな赤羽を代表する一軒、赤羽で最も古くからある立ち飲み屋さんの「立ち飲み いこい 支店」を紹介します。

「立ち飲み いこい」は、現在は飲食を主体としていますが、もとは酒販店の一画をその場で飲めるようにした「立ち飲み」から始まりました。その歴史は50年以上に及びます。

酒屋の一部で飲むイートインを今は「角打ち」と呼びますが、角打ちはもともと北九州で使われていた呼び名で、東京では「立ち飲み」と言っていました。その後、飲食店の立ち飲みが登場するにつれて呼び分けされていったという歴史があります。

「お客さんは1000円前後のご利用が多いですね」

さて、いこいには2店舗ありまして、今日は支店のほうへお邪魔しています。店は大きく開放的、最近は若い男女の姿も多く、昔の立ち飲みのディープさが薄らいで敷居を低くしています。

東京・赤羽「立ち飲み いこい支店」

それでも、立ち飲み当初からの低価格で気軽にちょいと一杯は変わらずで、日常の癒やしの場として愛され続けています。

「お客さんは1000円前後のご利用が多いですね。うちは料理が安くて種類も多いので、結構食べていかれる方が多いんですよ」と店長の北爪学さん。

「散歩の途中に寄るお客さんも多いんですよ」と店長の北爪学さんは話す

一杯目、やっぱりビールから始めたい! 酒販店からはじまった立ち飲みですから、角打ちらしく瓶ビールをチョイス。それでは乾杯です。

名物の煮込みは110円

名物の煮込みはなんと110円(税込み、以下同じ)。一人で摘まむのにちょうどいい量。安くても美味しさ安定です。丁寧に処理された豚モツを使った白味噌味です。出汁(だし)がしみた豆腐や大根も旨味たっぷりでお酒を進ませてくれます。すぐに出てくるので一品目にぴったり。

続いてまぐろの刺し身。いこいが料理の種類を増やし始めたころ、板長が築地市場に仕入れに行ったのが始まりで、それ以来、いこいと言えば魚料理も安くて美味しい立ち飲み屋となっていきました。今でも昔からの関係で仕入れるまぐろなどは築地直送です。

まぐろ刺し身は130円

荒川沿いの街、赤羽は戦前から川魚料理の店が人気だったと言われており、現在もいくつもの老舗が軒を構えています。いこいにも焼き鳥、ホルモン焼きと並ぶ中に突然、なまずの唐揚げがあるなど、街の背景が反映されています。くさみのない味ですっきりした甘みと余韻の旨味が特長です。

なまずの唐揚げは150円

自家製サラダを注文すると、実はそれはポテトサラダ。玉子を合わせたねっとりクリーミータイプで、これがビールと合わせてクセになる美味しさです。

ポテトサラダは110円、生ビール(中)は380円

瓶ビールは大瓶で440円。100円台が中心の小皿を数品食べて1000円でお釣りが来るのは、とっても懐に優しい値段です。お財布に入った小銭で楽しめる大人の憩いの場。こうしてのんびり酒の店に浸る時間はいいものですよ。

店名:立ち飲み いこい 支店
住所:東京都北区赤羽南1-5-7 クレアシオン赤羽ビル 1F
電話:03-5939-7609
営業時間:月曜〜土曜 朝7:30〜夜10:00、祭日 朝7:30〜夜9:30(いずれも当分の間)
定休日:日曜(当分の間)
予算:800円


塩見 なゆ
酒場案内人。1984年、東京都杉並区荻窪生まれ。新宿ゴールデン街に通った作家の両親を持つ。幼いころより中央線沿線の飲み屋へ連れて行かれ、物書きの大人と瓶ビールに囲まれて成長する。会社員として広報・宣伝畑を経て独立。趣味だった飲み屋巡りを本業とし、飲食専門のライターとなる。酒場に恋して年間2,000軒を巡る。
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