塩見なゆの「都境酒場」案内

蒲田「鳥万 本店」:創業55年の懐かしの大衆酒場、メニューの多さは圧倒的

文/写真:塩見 なゆ 09.10.2018

東京・大田区の蒲田駅を降りると、そこはどこか懐かしい昔の東京があるように感じます。駅ビル「東急プラザかまた」には、いまは全国でも珍しくなった「かまたえん」という屋上遊園地があり、なんと観覧車が現役。いまも小さな子どもたちに人気のスポットです。調べてみるとデパートの屋上観覧車は都内で唯一なのだそう。昔は渋谷や銀座などいろんなデパートにありましたよね。今回はそんな街にある大衆酒場「鳥万 本店」を訪ねてみました。

蒲田駅前ロータリーは、都心であまり見かけなくなった路上ライブをする若者の姿や、買い物かごいっぱいにお買い物をして自転車を漕ぐお姉さん、ほろ酔いを楽しむご隠居さんと、まるで平成初期を再現した映画のワンシーンのようです。

京浜東北線沿いの通りから「東急プラザかまた」屋上の観覧車が見える

蒲田の繁華街は2つの表情をもっています。東急池上線・多摩川線が発着する西口と、JR京浜東北線を挟んだ東口から少し離れた京急線の京急蒲田駅周辺です。どのブロックもアーケード街や元気な商店街が広がり、庶民的な街並みとなっていますが、少しずつ雰囲気が違うので面白いです。

どちらブロックも大衆酒場や立ち飲み屋で大賑わい。表情の異なる街が連なることで、蒲田の街はほかの東京都境の街と比べ、だいぶ規模が大きく、何度訪れても毎回違った景色がみつかり楽しめます。

都境酒場蒲田編では、西口と東口の両方から地域に根づく酒場を訪れたいと思います。

創業は1963年、東京五輪の前年という大人気の大衆居酒屋

蒲田の飲み屋を語るうえで外せない存在は、西口からすぐの飲食店街に店を構える「鳥万 本店」です。創業は1回目の東京オリンピック開催の前年、1963年というから驚きです。しかも、その当時から働いていた店員さんがつい最近まで現役でレジに立たれていましたので、重ねてびっくり。

5階建てビルのすべてが鳥万で、席数は170以上。それでも毎夜満席になるほどの賑わいをみせる超人気店です。

雰囲気は「ザ・懐かし」の大衆酒場。膨大なメニューが隙間なく貼られ、調理場では次々と料理人さんがオーダーに応えていく。街の風景といっしょで、ここでも少し前の東京の姿がみえてきます。

お気に入りは1階のカウンター席。ここでワイワイ賑やかな中でボーっとビールを飲んでいると、なんだかホッとするものです。たくさんの人がみんな楽しく飲んでいる、そんな空間に染まり、景色のひとつになれることが好きです。

生ビール(中)は370円

まずはビールで乾杯!