海外酒場事情

オリガさんの「手づくりピロシキ教室」、ウラジオストクの隠れ家レストランで体験

文:中村 正人/写真:佐藤 憲一 03.12.2019

極東ロシアのグルメの街、ウラジオストクにはたくさんの魅力的なレストランがある。食事を楽しむだけでなく、午後の空いた時間を使って常連さんなどを相手にロシア料理の教室を始めた店もある。今回は外国人旅行者でも料理教室を体験できるレストランを紹介しよう。

海外の旅先でご当地料理の手づくり体験を楽しみ、試食する──。そんなアトラクションは韓国のキムチづくりが有名だが、最近では日本を訪れた外国人向けの寿司づくりが人気のようだ。これがロシアでは、パン生地に肉や野菜を入れたロシア風パイのピロシキやロシア風水餃子のペリメニとなる。

お客さんとシェフの交流をもっと深めるために料理教室

その手づくり体験ができるレストランは、ウラジオストク市内中心部の高台の住宅地にある「クヴァルチーラ30(Квартира30)」という。店名「クヴァルチーラ」のロシア語の意味は「集団住宅」で、ソ連時代のアパートに郷愁が込められている。

一見レストランには思えない「クヴァルチーラ30」の外観。階段を上って玄関へ

実際、その店はソ連時代のコンクリートむき出しのアパートの中にある。路地裏のややわかりにくいところにあるが、ロシアのグルメ雑誌のランキングでトップ60にも選ばれた人気の隠れ家レストランだ。

ロシアの家庭に招かれたようなアットホームな店内
レストランの隣にあるオープンキッチンが料理教室の舞台

オーナーのオリガ・グルースカヤさんはウクライナ出身。心温まる家庭的なサービスと新鮮な極東ロシアの食材を活かしたオリジナルな料理が楽しめる。供される料理はそのときどきの季節で変わり、手書きの日替わりメニューに書き出されるが、この店のインスタグラムをご覧になると雰囲気が伝わるだろう。

■Квартира30のインスタグラムはこちら
※同店のインスタグラムには、さまざまな料理やデザート、料理教室の様子などが紹介されている。

オリガ・グルースカヤさんを真ん中にして、オープンキッチンに勢ぞろいしたクヴァルチーラ30のスタッフ

オリガさんが料理教室を始めた理由は、ただ料理を出すだけでなく、人と人のつながりを大切にし、シェフと顧客の交流をもっと深めたいと考えたからだという。基本は常連である地元の人たちを対象としていたが、現地在住の日本人の働きかけもあり、日本人ツーリストも受け入れることになった。

ランチとディナータイムを外した午後のひととき、料理教室はまずオリガさんによるロシアの食文化のレクチャーから始まる。そのとき、軽いつまみとしてビーツのサラダやキノコのマリネ、ニシンの酢漬けなどのロシア風の前菜とパンのオードブルが出される。もし望めば、冷えたスパークリングワインを食前酒としていただくことも。料理実習の前にアルコールはいかがなものかという人には、極東ロシアの森でとれた木の実や果実のジュースが各種そろっているので、それらをいただくといいだろう。

オードブルはロシア沿海地方のキノコやマツの実などの食材が使われている

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