海外酒場事情

成田から2時間50分のハバロフスク、人気のエンタメ・レストランは「アラビアンナイトの世界」

文:中村 正人/写真:佐藤 憲一 08.27.2018

ウラジオストクのほかに、極東ロシアでひそかに注目される町がもうひとつある。大河アムールのほとりにあるハバロフスクだ。成田国際空港からの直行便のフライトは2時間50分。ソウルに行くのと変わらない近さだ。そのハバロフスクでいま話題になっているコーカサス料理の店「スルタン・バザール」を紹介しよう。

「日本にいちばん近いヨーロッパ」こと、ウラジオストクと同様、極東ロシアでひそかに注目されるもうひとつの町がある。

大河アムールのほとりにあるハバロフスクだ。ウラジオストクから夜行列車に乗ると朝には着き、シベリア鉄道をお気軽体験できることから、誰よりも早く、人とは違ったことをしたいという旅好きの間では知られている。しかも、成田国際空港からの直行便のフライトは2時間50分。台北に行くより1時間早く、ソウルに行くのと変わらない近さである。

アムール川が流れるボーダーツーリズムの町

ハバロフスクとはどんな町なのか。ひとことでいえば、19世紀後半に造られた優美な西洋近代建築が残るロシアの地方都市。そこはウラジオストクと共通している。

だが、ハバロフスクならではの魅力もある。町の南端にある川沿いの公園の展望台から眺めるアムール川のスケールは、日本人の感覚でいえば川ではなく、海峡のような広さで、そこは中国との国境である。港からアムール上流に向かう遊覧船や中国行き水中翼船も出ており、ボーダーツーリズム(国境観光)の町でもある。

アムール川を望む展望台で寄り添うロシア人の若いカップル

公園から川に対して直角に延びるムラヴィヨフ・アムールスキー通りには、この地にロシア人が現れた1858年以降に建てられた、当時ヨーロッパで流行したさまざまな様式の建築が野外博物館のように品よく並んでいる。

まるでアラビアンナイトの世界のよう

その通りに、いまハバロフスクで話題のレストランがある。コーカサス料理の店「スルタン・バザール」だ。

「スルタン・バザール」はムラヴィヨフ・アムールスキー通りのいちばん南端にある

レンガ造りの建物を入ると、そこはまるでアラビアンナイトの世界。色とりどりの絨毯を壁に飾り、アラビアの弦楽器や食器、水たばこ、魔法のランプ(たぶん)、天井から吊り下げられたカゴ入りの真っ赤なオウムなど、中央アジア風のアイテムをこれでもかと並べたテーマパーク風インテリアで構成されている。

なかでもドキリとするのが、エキゾチックなコスチュームと化粧を施したロシア人店員のコスプレ度の濃さで、もはや東京ディズニーランドの比ではない。

食事以外のエンタメ要素もたくさんあり、飽きることがない
「スルタン・バザール」の店内で出迎えるアラビア風コスプレのロシア人店員

要するに、ここはエンタメ・レストランなのだ。店員たちにはそれぞれキャラ設定があるようで、専用の個室で煙をくゆらせる水たばこ売りの中年男役、地元のファミリー客と一緒に輪投げに興じる道化師役といったぐあいで、料理の注文取りや給仕の合間にあの手この手で店の雰囲気を盛り上げている。