海外酒場事情

日本人がまだ知らないサハリンのライブバー、地元の若者たちとライブを楽しむ!

文:中村正人/写真:佐藤 憲一 11.27.2018

これまでウラジオストクやハバロフスクなど、極東ロシアの街で出合ったレストランや酒場の話を紹介してきたが、かつて樺太と呼ばれたサハリンも、成田からのフライトはわずか2時間10分。州都ユジノサハリンスクは人口20万人ほどの都市で、美しい山並みに囲まれた、すがすがしい「ヨーロッパの田舎町」といっていい。すでに経済発展をすませた近隣アジアの国々の都市とは違い、ゴチャゴチャした商業広告や道路渋滞、人ごみあふれる喧騒などとは無縁である。

ユジノサハリンスクには、ウラジオストク同様、グローバルチェーンのスターバックスはまだないけれど、居心地のいいカフェやライブバーがけっこうある。胸のときめくような出来事などまず起こらなさそうな田舎町に見えるかもしれないが、パリッと正装してカップルで出かける高級店から、普段着で家族連れが訪れるカジュアルな店まで、レストランの世界は意外にバラエティに富んでいる。

ライトアップされ、闇夜に浮かび上がるユジノサハリンスクのロシア正教会

他の極東ロシアの都市と同じように、オホーツクの海産物を豊富に使ったシーフード料理やジョージア料理のようなコーカサス、中央アジアの味覚も楽しめるのは、ユジノサハリンスクならではだ。

若者と知り合うには週末の夜、ライブバーに行くのがいい

サハリンに住む多くのロシアの人たちは、日本に対して特別な親しみを感じてくれているようだ。ユジノサハリンスクにあるサハリン国立大学には、ロシア全土から日本語を学ぶ学生が毎年70名ほど集まってくるそうで、日本語人材も豊富という。

そんなこの街の若者と知り合うには、週末の夜、ライブバーに行くといい。そこで訪ねたのは、ロシア正教会の通りの向かいにあるライブバー「カフェ・オペラ」。

教会の向かいにある「カフェ・オペラ」では、週末にライブがある

店内は、世界中どこにでもあるようなクラブ風の空間で、地元の若者が集まっていた。ライブステージの正面のカウンターが空いていたので、しっかり席をキープした。極東ロシアでは、我々のような東洋系の見知らぬ外国客に対しても、ごく自然にフレンドリーな応対をしてくれる。そして、日本人だとわかると、笑顔を見せて歓待してくれることが多い。

この店のバーテンは派手なアクションでカクテルをシェイクする陽気な青年だった。常連客と冗談を交わし、笑いを取るタイプである。でも、そのやりとりは、どこかぎこちなくもあり、そこが微笑ましい。

お調子者風のバーテンと会話を楽しむ女性客

ドリンクは海外のインポートビールやロシアのクラフトビール、ワイン、ウオッカ、テキーラ、ラム、バーボン、ジンなどなんでもあるが、人気はオリジナルカクテルのよう。ロシア語のメニューを見ただけではよくわからないのだが、シベリアの森でとれる果実酒が豊富な国らしく、フルーツや木の実がざっくりグラスに入っていたりと、日本のバーのおしとやかなカクテルとは違って、野性味にあふれている。でも、おいしい。

何を頼むべきかは、ロシア語のメニューを見ているだけではよくわからないのだが、この種の若者が多い店では、たいてい英語は通じるのでひとまず安心だ。あまり難しく考えないで、バーテンのおすすめを頼んでみることにした。

適当に注文したら、最初の一杯はウオッカのコーラ割りが出てきてがっかり。次は何を頼もうか…