海外酒場事情

サハリンで「食の宝庫」ジョージアのワインとスパイシーな料理を味わう

文:中村 正人/写真:佐藤 憲一 12.11.2018

サハリン滞在中の楽しみのひとつが、中央アジアにあるコーカサス地方のジョージア(旧グルジア)料理が味わえることだというのをご存知だろうか。食都・東京でもなかなか体験できない魅惑のグルメに出合えるのが、いまの極東ロシアだ。先日、州都ユジノサハリンスクでいちばん人気のジョージア料理レストラン「ティフリス」を訪ねたので、紹介したい。

ジョージア料理レストラン「ティフリス」は、ユジノサハリンスクの目抜き通り、いまどきロシアでも古風な名称のレーニン通りに面したビルの地下にある。

「ティフリス」は雑居ビルの地下にあり、ちょっとわかりにくいので注意

階段を下りると、背後から男性に声をかけられた。ロシアのレストランでは、たいてい入店前にクロークがあり、外套を預けるのがルールである。日本人からすると、少々面倒くさいのだが、高級店でなくても、きっちり西洋式マナーを守るところは、日本と違う。

「これらのスパイスで、どんな料理でもジョージア風になる」

店に入ると、エキゾチックなスパイスの香りや香ばしい肉の匂いに包まれ、地元ロシア人のカップルや家族連れが食事を楽しむ和やかな光景が目に飛び込んできた。

隣のテーブルでは家族の誰かの誕生日祝いのようだった

席に着くと、サハリンに多いアジア系のウエーターからメニューを渡される。まずはドリンクから。極東ロシアではそれほど珍しいことではないが、日本のアサヒビールの黒ビールがある。だが、ここではジョージアの地ビール「Zedazeni」を注文しよう。

ジョージアの地ビール「Zedazeni」は1本(500ml)が320ルーブル(1ルーブル=約1.7円)

ジョージア料理で代表的なものといえば、ハーブソースで味付けした羊や牛を串焼きにした「シャシリク」や、超スパイシーな仔牛のトマト煮込みスープ「ハルチョー」、チーズとタマゴを包んだジョージア風ピザ「ハチャプリ」、テントのようなユニークな形をした水餃子「ヒンカリ」など。

ハルチョーの辛さは東アジアにはない、クールなスパイシーさがある。420ルーブル
ハチャプリはパイ生地でもパンでもない独特のピザ。タマゴの黄身をチーズと混ぜてから食べる。480ルーブル
小龍包風だが、肉汁はさわやかなヒンカリ3個で280ルーブル

メインのシャシリクは、串刺しのまま豪快に出されることもあるが、この店ではきちんと串から取り、小麦粉の薄い皮で野菜と一緒に包んで出してくれる。大ぶりの肉のかたまりをナイフで切り、口に運ぶと、ジョージアのミックススパイス「フメリ・スネリ」の独特の香味が口と鼻の中に広がる。

オープンキッチンの厨房でシャシリクを焼く中央アジア系の調理人たち

ロシアのレストランでは、ソースやスパイス、マヨネーズなどの調味料がメニューに書かれていることがよくある。これは自分の好みに合わせて、味を加えるためだ。なかでもハーブ入りのクルミソース「サツィヴィ」は、ジョージアでは最も一般的なソースのひとつで、蒸し鶏にこれをかけた料理もサツィヴィと呼ぶようだ。「これらのスパイスや調味料を使うと、どんな料理でもジョージア風になる」と都内在住のロシアレストランのシェフはいう。

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