欧州ビール紀行

アムステルダム:夕暮れの“ブラウンカフェ”で、オランダ最古のビール「グロールシュ」を味わう

文/写真:塩見 なゆ 02.26.2019

「アイ湾」に注ぐアムステル川を13世紀にダムでせき止めて築かれた街、アムステルダム(アムステル川のダム=堤防という意味)。港町として発展し、街にはいくつもの入り組んだ運河が巡らされています。海洋国として各地との貿易で栄えたオランダの中心であり、様々な国の文化が街に調和しています。そんな海洋都市アムステルダムへ、おいしいビールと料理を楽しむため、国際特急列車に乗ってベルリンからやってきました。

玄関口、アムステルダム中央駅は街の北端にあり、ここから次々発車していくトラム(路面電車)に乗って街の中心、ダム広場を目指します。レンガ敷きの細い道路をトラムは進み、17世紀のオランダルネッサンス様式の建物や運河の間を縫うように走ります。まるでおとぎの世界に迷い込んだような気分です。近代的な都市計画でドーンと大通りが碁盤の目状に配された大都市ベルリンから一人旅をしながらアムステルダムにやってきた私は、街のもつ雰囲気のギャップに驚くばかり。

アムステルダム中央駅。東京駅のモデルになったことで知られる
アムステルダムは美しい運河の街としても有名だ

空間がパッと開けたところにとラムが停車すると、そこがダム広場。もともと市庁舎として17世紀に造られた建物が街のシンボルです。19世紀初頭にナポレオンの弟ルイ・ボナパルトによって王宮として接収され、現在は王家所有の迎賓館として使用されています。

旧市街の中心部にあるダム広場。中央右寄りの建物が655年に市役所として建てられた現在の王宮

創業1520年のレストランで生牡蠣やムール貝をいただく

入り組んだ路地には大小様々なレストランやパブが立ち並び、どのお店も店先で美味しいビールを楽しむ人達の姿があります。

目的のお店はレストラン「Haesje Claes」(ハーシェ・クラーズ)。ムール貝や牡蠣、ニシンなどの北海の恵みを使った伝統的なオランダ料理を食べさせてくれるお店です。創業はなんと1520年というから驚き。日本でいえば、織田信長が今川義元を討ち取った桶狭間の戦いの40年も前のことです。


小さくて可愛らしい街並みに負けないほど、店内も細かな装飾があって楽しい雰囲気です。近世になってヨーロッパの食堂はこんな感じだったのでしょうか。常連さんらしい年配のご夫婦が”いつもの”というようにサーモンのソテーと白ワインを楽しまれています。


前菜にはオイスター(3個8.5ユーロ=約1000円)。この街では生牡蠣は定番の一皿です。新鮮な牡蠣に舌鼓を打っていると、続いて小エビのコロッケ(11.50ユーロ=約1400円)がきました。オランダの食文化になくてはならない存在のコロッケ。アムステルダム中央駅にはコロッケの自販機もあるほどです。しっとり粘度のあるクリーム状で、ピクルスや添えられた小エビと一緒にいただきます。日本のコロッケとはやや印象は異なりますが、この味は好きな人が多いでしょう。

オイスター 6.5ユーロ(約1000円)
小エビのコロッケ 11.50ユーロ(約1400円)

メインディッシュには蒸しのムール貝(18.50ユーロ=約2300円)をいただきました。お鍋にこんもりと入ったムール貝は、セロリや玉ねぎ、人参などで風味がつけられています。肉厚でぷりぷり、コクのある味わいにワインはもちろん、ビールとの相性も抜群です。ムール貝の食べ方は、フランスはワイン蒸しが定番ですが、オランダではビール蒸しがポピュラーな食べ方です。

蒸しのムール貝 8.50ユーロ(約2300円)