海外が中心だったESG投資が国内でも着実に拡大しつつある。国連持続可能な開発目標(SDGs)で伸びるビジネスが投資の対象になる。

橋爪 麻紀子/日本総合研究所 マネジャー

 これまで欧米で主流であったESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)投資の考え方がこの2〜3年の間に日本国内の投資家の間でも着実に根付き、これに呼応して企業の側でも関心が拡大しつつある。

 世界持続可能投資連合(GSIA)の公表では、世界のESG投資額は2012年の13.3兆ドルから2014年の21.4兆ドルに拡大した。一方、日本サステナブル投資フォーラムの公表でも、国内のESG投資額は2015年の26.7兆円から2016年の56.2兆円に拡大した。こうした国内のESG投資拡大に向けたターニングポイントになったのは、2015年9月の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国連PRI(Principles forResponsible Investment: 責任投資原則)への署名だろう。

 GPIFは総運用資産額が130兆円を超える世界最大規模の機関投資家である。2015年からの中期経営計画においてESG投資の促進について言及し、2016年7月には独自のESG株価指数の活用を表明し2017年度から実行する計画だ。

ESG投資を促進するSDGs

 今後、ESG投資をさらに促進する鍵となるのは、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)だと考えられる。折しもSDGsの採択は、安倍晋三首相がGPIFのPRI署名を発表した国連総会と同じタイミングであった。

 SDGsとは貧困、飢餓のような途上国よりの問題から、気候変動、産業革新のような先進国も包含する課題を含む17の目標、169のターゲットと評価指標からなる世界共通の開発目標である。国連は2016〜30年までの間に毎年5兆〜7兆ドルの資金投入が必要と試算しており、国際機関や各国政府による開発援助資金だけではなく、民間の資金、製品・サービスの動員が必要不可欠と考えている。

 では、具体的にどのようなビジネスや企業がSDGsで伸びる可能性があるといえるのだろうか。

 日本総研では、過去10年以上にわたり、運用機関に対し、上場企業のESG関連情報を提供しているが、近年ではSDGsに関する企業の取り組みを知りたいというニーズが確実に高まっている。これに対し、SDGsの目標、ターゲット、主要トピックを、それに貢献する製品・サービスや提供する企業にひも付けて整理している。下の表はそれを簡略化したものである。ここで感じるのは、SDGsに貢献し得る製品やサービスを有していながら、企業のCSR報告書やアニュアルレポートにおいてはSDGsとひも付けた説明やその効果を十分に開示する企業が極めて限られている点である。いわば「もったいない」状況が散見されるのである。

■ SDGsで伸びるビジネスの分野と製品・サービスの例
出所:外務省、各社の公開情報などを基に日本総合研究所作成
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