SDGsへの貢献をアピールする企業が急増している。12兆ドルともいわれる商機を手にできるか、競争は始まったばかりだ。

 SDGs(持続可能な開発目標)が、世界で盛り上がりを見せている。お笑いやゲームといったエンターテインメント業界も巻き込み、そのうねりは大きくなる一方だ。

 吉本興業は2017年から、SDGsのPR活動を全国で展開し始めた。例えば8月には北海道のイベントで「SDGs-1グランプリ」を開催した。芸人がSDGsの17目標を即興でネタに取り入れ、誰が一番メッセージを伝えられたかを競い、来場した子供たちにも分かりやすくPRした。

■ 吉本興業は、芸人らを起用してSDGsを国民に幅広くPRする
2017年4月に開催された沖縄国際映画祭「島ぜんぶでおーきな祭」のレッドカーペットでSDGsをPRする芸人たち(左)。
8月には北海道のイベントで「SDGs-1グランプリ」を開催し、芸人がSDGsを取り入れたネタを披露した(右)
■「 ポケモンGO」もSDGsの普及啓発に一役買う
スマートフォン向けゲームアプリ「Pokémon GO(ポケモンGO)」では、ゲームに登場する場所やキャラクターの衣装にSDGsの目標を表すロゴを表示して普及啓発に協力する
©2017 Niantic, Inc. ©2017 Pokemon.©1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

 社会現象にもなったスマートフォン(スマホ)向けゲームアプリ「ポケモンGO」では、ゲームに登場するキャラクターの衣装として、SDGsのロゴを描いたTシャツを提供している。

 「『ポケモンGO』は、世界中の何百万人もの人々に楽しんでもらっており、プレーヤーすべてが何らかの形で地球に大きな影響を与えている。多くの人に愛してもらえるゲームを作ることで、SDGsで示されるような、世界的な問題に取り組む方法を模索したい」(ポケモンGOの開発元である米ナイアンティック)

2030年に3.8億人の雇用

 SDGsとは、2015年9月に国連が採択した世界が共通して取り組む2030年の目標だ。17の目標と169のターゲットから成る。SDGsがこれほどまでに注目を集めているのは、そこに大きなビジネスチャンスがあるからだ。ビジネスと持続可能な開発委員会によると、年間最大12兆ドル(約1340兆円)の経済価値を持つ市場が生まれ、2030年までに3億8000万人の雇用を創出する可能性があるという。

 環境や健康、人権といったSDGsが示す社会課題は多くの国・地域が抱えており、その解決につながる製品やサービスのニーズは大きい。企業は事業を通じてそうした社会課題を解決することで利益を得られる。

 ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の広がりもSDGsが企業の関心を引き寄せる理由の1つだろう。中長期の視点で企業を評価する投資家は、環境や社会課題への取り組みといった非財務面も重視する。SDGsへの貢献は投資家の評価にもつながりやすいとみられる。

 こうした背景から、世界の企業がSDGsへの対応を急いでいる。第1段階として、自社が既に手がけている事業が、SDGsの目標のどれに関連しているかを示す「マッピング」に着手した。

 マッピングを利用してSDGsへの貢献を発信すれば、投資家や顧客といったステークホルダーへのアピールになる他、優秀な人材の確保につながる可能性がある。地球環境戦略研究機関(IGES)持続可能性ガバナンスセンターの小野田真二研究員は、「事業をSDGsと絡めることで、政府の補助金が出たり、国際機関の資金協力を得られたりとお金がつきやすい」と別のメリットも挙げる。