桐山 浩 氏(写真:鈴木 愛子)

 現在、2018年3月までに発表する予定で、中期経営計画と長期ビジョンの策定を進めている。2018年度からの5年間の中期経営計画は、これまでに仕込んできたことが具体的な数字として示せるものになる。例えば、最も上流の原油生産では、アブダビのヘイル油田が2017年11月から商業生産を開始しており、次の中計に反映できる。国内でも、JXTGホールディングスとの合弁事業やキグナス石油との資本業務提携などの骨格ができており、シナジー効果が出てくるだろう。

 これからは、その次の中計のための仕込みをしなければ間に合わない。そのための方向性を打ち出すのが、長期ビジョンだと位置付けている。長期の大きな方向性を見込むのはなかなか容易なことではないが、各国で2040年にはガソリン車の販売がなくなるなどの報道があり、石油ビジネスが縮小傾向にあると認識している。石油に依存した事業ポートフォリオを組み替えていかなければならない。

 我々は化石燃料を取り扱う企業なので、ESG投資家の目も気になる。再生可能エネルギーに力を入れなければ、事業のバランスが取れない。現在、風力発電事業の発電容量は合計21万kWで、国内シェア第3位だ。これを50万kWまで増強する計画は描けている。

 ただ、事業化までのリードタイムが長く、適地もだんだん減ってきている。供給地への送電インフラが不足している問題もある。

 欧州の現状を見ていると今後、洋上風力が主流になっていくのだろう。実際に秋田県の能代湾で進めている事業に出資して、検討を始めている。ただ、洋上風力の適地も送電網が弱いという問題がある。これを解決しようとすると、民間企業だけでは投資負担がきつくなる。将来のエネルギーミックスに向けて、国がインフラ整備を政策的に進めてくれれば、事業が進めやすくなる。

安全の仕組みが成果を上げる

 東日本大震災後、主力の千葉製油所が2年間停止していたが、その後にハードとソフトの両面で進めてきた安全意識の向上や安定稼働のための対策がここにきて効果を上げてきたと実感している。それは、設備の稼働率に表れている。2013年度の70%から、直近の2017年度は95%まで向上した(9月末時点)。業績の回復に大きく貢献している。