聞き手/酒井 綱一郎(日経BP社取締役副社長)

廃棄物に関わる様々な事業をトータルで手がける大栄環境グループ。「100年企業の基盤づくり」に向けて、ESGに積極的に取り組む。

――企業戦略の中で、ESGやSDGsをどのように位置付けていますか。

金子 文雄(かねこ・ふみお)
大栄環境ホールディングス 代表取締役社長
1956年兵庫県生まれ。79年大阪商業大学経済学部卒業後、大栄環境に入社。83年三重中央開発取締役、91年大栄環境取締役、2007年大栄環境代表取締役社長、三重中央開発代表取締役社長に就任した。09年から現職。同社グループは、17年度において、過去最高の業績を上げている

金子 文雄氏(以下、敬称略) まず言えるのが、当社は創業からの事業運営がESGの取り組みに合致するということです。当社は大阪府和泉市での最終処分場建設を契機に創業しましたが、当初は多くの反対もありました。創業者の情熱で説得を重ね、一部住民の理解を得て開業の許認可が下りたものの、すぐに反対住民が取消訴訟を起こし、和解までに10年という時間を要したのです。そうした歴史から、地域の信頼を得て事業を行うことの重要性を十二分に認識してきました。

 このように、廃棄物処理事業は、とくに処分場などの施設整備に当たり地域の理解や顧客・社会からの認知がなければ成り立ちません。その点でもESGは必要不可欠です。またSDGsについても、持続的な環境を目指すという点で多くの部分が重なっていると考えています。

――和解までの10年の間に、企業としてどのようなことを学びましたか。

金子 一番は、信用してくれた人たちを間違っても裏切ってはならないということです。そのためにも、事業を確実な形で永続させる必要があります。処分場を造ったものの、しっかり管理せず、しかも途中で放棄するなど言語道断。実際、廃棄物処理事業者には、倒産したり、閉鎖完了の届け出もせずに逃げてしまう業者が多くあるのも事実です。しかし、当社は大阪に処分場を稼働し、閉鎖後も安定化するまで管理をきちんと継続しました。いまその土地は市民の憩いの場になっています。

 また、事業を永続させるには、やはり社員の意識も重要です。社員の活力と満足度を大切にすることで、ブランド価値が創造され、それが結果的に地域の信頼にもつなげられるからです。社員一人ひとりが地域の人にいい加減な対応をしていたら、信頼関係はなくなってしまいます。