快適に働けるオフィス環境を提案し、多彩なオフィス家具をリリースする。高齢者や障害者がオフィス内を自在に移動できる新機軸のオフィスチェアが、注目されている。

 オフィス用家具をはじめとするオフィス環境事業を手がけるオカムラにとって、誰もが働きやすいオフィスづくりと、それをもとにした働き方改革支援はまさに本業だ。

 快適を実感できるオフィス用家具の提案に向け、「ユニバーサルデザイン」の追求を軸に置いている。この文脈から登場したオフィスチェアが、脚の不自由な従業員のオフィス内の移動をサポートするアクティブムーブチェア「Weltz(ウェルツ)」だ。オフィス内をチェアに座ったままでスムーズに移動できるように、様々な工夫をこらした車輪付き製品である。

 「Weltz」には電動で動く「Weltz-EV」と、座る人間が自分の脚を動かして移動する「Weltz-Self」の2製品がラインナップされている。最初にリリースされたのは「Weltz-Self」。開発のきっかけは、2009年にある企業から車椅子スタッフのために、座り心地のいい特注チェアを作ってほしいと依頼を受けたことだ。

■ アクティブムーブチェア「Weltz」シリーズ
「Weltz-EV」
オフィスチェアのような快適な座り心地と電動車いすの優れた旋回性・移動性の両立を実現
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「Weltz-self」
前進後進だけでなく旋回性に優れ、下肢の筋力やバランス機能が低下した高齢者や障害者の「はたらく場」への進出を実現
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 佐賀大学とのコラボレーションで開発に取り組み、事務用椅子をベースに車椅子用の車輪を取り付けたオフィスチェアを提供した。「この開発の過程で、屋外用車椅子で出社した人が、社内ではチェアを乗り換えて働きたいという要望があることを初めて知った」と、フューチャーワークスタイル戦略部で研究開発に携わる浅田晴之氏は語る。

 車椅子ユーザーには、短い距離なら自分の脚で移動できる人もいる。しかし出社して一般的なオフィスチェアに座ってしまうと、長い距離を移動するのは難しいため、移動の際はまた車椅子に乗り換えなくてはならない。「それならオフィスチェアでそのまま移動できるようにすればいいのでは、というアイデアが生まれた」と語るのは、マーケティング本部オフィス製品部で製品企画を担当する髙橋卓也氏だ。

 この発想のもと、2012年、「Weltz-Self」の開発が本格スタートした。ターゲットはあくまでオフィス内で働くユーザーに絞り、屋外の移動は想定しないと割り切った。佐賀大学や神奈川県総合リハビリテーションセンター、日進医療器の協力を仰いで開発に臨んだ。

 浅田氏と髙橋氏が意識したのが「“いかにも車椅子”というデザインを避けること」だった。「オフィスで使うものですから、見た目がオフィスチェアのように見えることに最もこだわった」と髙橋氏は振り返る。そのためまずは全体をコンパクトにした上、車輪サイズもできるだけ小さくすることに注力した。

 ところが試作の過程で、あまりに小さな車輪では不都合が生じることが判明する。高齢者施設で試した時に、車輪が小さすぎて床にめり込んでしまい、移動がままならなかったのだ。