東日本大震災からの復興を支援するため「福島ひまわり里親プロジェクト」に参加。環境活動として始まった取り組みが絆を生み、自社センシング技術の活用へとつながった。

 近年、多くの自然災害に見舞われている日本。全国各地で復興に向けた様々な取り組みが進められている。

 復興のシンボルとして被災地に花を咲かせる、これも復興の一つのあり方だ。NPO法人「チームふくしま」が東日本大震災への復興支援活動として2011年から展開しているのが、「福島ひまわり里親プロジェクト」である。賛同者が“里親”としてひまわりを育て、採れた種を福島に寄贈する。

 2017年までの6年間で、延べ25万人が自宅などでひまわりを育て、採取された累計約10tの種が福島県内の小中学校・高校や自治体、観光施設、企業など様々な組織・団体に寄贈されている。また、福島県内で採れた種については、油を搾り、バイオディーゼル燃料に生成して地元福島を走る福島交通のバスに使われている。

 同プロジェクトは被災地に花を咲かせることが大きな目的ではあるが、それだけにとどまらず、採れた種を袋詰めしたり、バイオディーゼル燃料用の油を抽出したりといった作業で、障害者も含めた福島の雇用を促進している面もある。このほか教育支援、観光振興などにも活用されている。

 NTT東日本グループは、2014年度からこのプロジェクトに参加している。そもそものきっかけは、NTT東日本・神奈川事業部の環境担当者がプロジェクトの存在を知り、事業部の約20人で参加をし始めたことだ。その後、社内・グループ内で横展開されることになる。

 「各事業部の環境担当が集まる会議で神奈川事業部の取り組みが注目され、社内のベストプラクティスとして共有しようということになりました」と、本社ITイノベーション部グリーン推進室の小林亘・担当課長は経緯を説明する。

 2016年に本社と他の事業会社、2017年にグループ24社、2018年からはグループのOB・OG有志も参加するなど、賛同の輪は着実に大きくなっている。

 一事業部からグループ全体へと枠組みが広がったことから、現在はグリーン推進室が一元的に種を購入し、希望する社員に配布。各社員は自宅の庭やベランダなどでひまわりを育てる。プランターでも生育できるので、ハードルが低く、参加希望者は気軽に手を上げられるという。なかでも取り組みの発端となった神奈川事業部は最も熱心で、ひまわり専用の畑を作って大々的に取り組んでいる。採取した種はグリーン推進室が社内でまとめて送るが、神奈川事業部は独自に送っているという。

社員それぞれの関わり方で

 2017年の参加者は、グループ全体で2000人程度。同年分として贈呈した種は約111kgだった。2018年の参加者はさらに増え、2200人を超えているという。

 予算面は、基本的には種の購入代のみで済むため、年に10万円程度とのことだ。生育の規模としてはやはり力を入れている神奈川事業部が大きいが、「部署間で競わせる意図はまったくありません」と小林氏が言うように、各事業部、あるいは社員それぞれの事情に合わせた関わり方をしている。環境目標を掲げ、PDCAをしっかり回しながら2017年より多くの種を収穫しようと取り組んでいる部署もあるという。

■社員の自宅でもひまわりを栽培
グリーン推進室の小林氏の自宅で栽培されたひまわり
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 小林氏自身も積極的に参加している。「担当ということもあり、最初は一人で種を10kg採ろうという意欲を持って、自宅でひまわりを育てました。ただ、花自体はたくさん咲いたのですが、種は500gしか採れませんでした。一人で、あるいは一部署だけでたくさん採ろうということではなく、少しでも多くの人が参加し、全体として多く集めるという方向性がいいと感じています。2017年は長雨の影響もあったのか、全体で111kg程度にとどまりましたが、いま集計中の2018年分は収穫量も大いに期待しています」。

 一方、同室主査の松本早都子氏は「私は育てるのがうまくないのか種がなかなか採れないのですが、チームふくしまの詳しい方から生育方法を学んだので、2019年こそはと思っています」と振り返る。

 2018年3月には、同プロジェクトに取り組む全国のひまわりの里親が集まる「ひまわり甲子園2018全国大会」に、福島の復興に貢献する企業としてNTT東日本が招待され、採取した111kgの種の贈呈式を行った。

 「グループ全体で約4万人の社員のうち、現在約2000人ということは、5%程度。まだまだ伸びしろがあります。自宅など身近で行える環境活動ですので、参加もしやすいと思います。今後も周知を進め、取り組みをさらに拡大していく考えです。もちろん無理強いするのではなく、社員の意識に訴え、草の根的に広げていきたいですね。できることなら社員全員に参加してほしいと考えています」と小林氏は意気込みを語る。