2050年に、「使うエネルギー」より「創るエネルギー」を大きくする。省エネの推進と再エネ活用によって、快適に暮らせる社会を目指す。

 2018年12月、ポーランドのカトヴィツェで気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が開催された。本会議場の傍らに設置されたサイドイベント会場には、多くの国や機関がパビリオンを出展した。

 日本パビリオンは、例年のセミナー中心の構成から、環境ビジネスのアピールへと大きく転換した。目玉は、CO2フリーに向かう社会の様子を描いた展示だ。オフィスビルや戸建住宅、スタジアムなどが建ち並ぶジオラマとプロジェクションマッピングで未来の街を表現した。

 時間の経過とともに街の色が変化していく。2018年の街は化石燃料由来エネルギーを使用しており、多くの施設が赤で示される。やがて太陽光発電や水素燃料電池などを導入した施設が青へ変化。VPP(仮想発電所)を経由して再生可能エネルギーが融通された施設も青に変化する。こうして2030年には、街のほとんどの施設が青になる。

 この展示を行ったのがパナソニックだ。同社は、「創エネルギー」「蓄エネルギー」「省エネルギー」「エネルギーマネジメント」の4つの技術を軸として、クリーンなエネルギーで安心して暮らせる社会づくりを目指している。COP24のイベント会場で、日本の目指す姿と、同社の目指す姿を重ね合わせて世界にアピールした。

■ COP24会場の日本パビリオンに設置されたパナソニックの展示
日本パビリオンで展示された「クリーンなエネルギーでくらせる社会」。日本の優れた環境技術を活用した社会のイメージをプロジェクションマッピングで紹介した
(写真提供:パナソニック)

長期ビジョンに社長の思い

 2018年に創業100周年を迎えたパナソニックは、創業者である松下幸之助の環境への思いを根幹に、「事業を通じて世界中の人々のくらしの向上と社会の発展に貢献」という経営理念のもと、環境への取り組を進めてきた。1991年に環境宣言を制定。2010年には環境行動計画「グリーンプラン2018」を策定し、生産活動と製品使用時のCO2削減を主に進めてきた。

 これまでCO2に焦点を当てて取り組んできた同社だが、2017年6月5日の世界環境デーに発表した「環境ビジョン2050」では、CO2ではなく、エネルギーにフォーカスしたビジョンを打ち出した。

 パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)がきっかけとなり、企業に足の長い戦略が求められるようになっている。多くの企業が、2050年までにCO2排出をゼロにするという中長期戦略を打ち出すなか、なぜ、エネルギーだったのか。

 そこには、津賀一宏社長の思いが込められている。それは、「CO2の目標は自分ごとにしにくい。一人ひとりの行動がビジョンの達成につながっているという実感の湧くものにしたい」というものだ。

 パナソニックの製品は、テレビや冷蔵庫をはじめ、顧客が使用することでエネルギーを消費する。また、工場での製造時や、輸送時、それ以外の非製造部門でも照明や空調などのエネルギーを使いながら事業活動を行っている。

 環境経営推進部環境企画課の下野隆二氏は、「エネルギーは当社の事業との親和性が高く、社員が自分ごとにしやすい。そこでCO2ではなく、エネルギーを切り口にした長期ビジョンを打ち出すことにした」と打ち明ける。