サッポログループでは人材を「人財」と表記し、「従業員は会社の宝」という考えを浸透させている。健康経営や勤務制度改革などに力を入れた結果、グループの価値を高めることにつながっている。

 サッポロホールディングスは、CSR推進のためにステークホルダーとの「4つの約束」を掲げている。その項目は「『酒・食・飲』による潤いの提供」「社会との共栄」「環境保全」そして「個性かがやく人財の輩出」だ(下図)。

■ CSR重点課題と4つの約束の概念図
サッポログループとして掲げているCSR重点課題と4つの約束。事業の基盤を成すコーポレートガバナンスとともに、「酒・食・飲」「社会」「環境」そして「人財」が、事業の成長の源泉であるブランド・信頼を形成する様子を示している
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 4つの約束にはそれぞれ重点課題があり、同社はこれらをSDGsの開発目標と照らし合わせ、いつまでに何をするという具体的目標にまで落とし込んで実施に当たっている。「自分たちの取り組みが世界とどうつながっているのか。このような形で示すことで、社員のSDGsに対する理解が進んだと思っている」と語るのは同社取締役で人事部長の福原真弓氏だ。

 4つの約束の中に「人財」を掲げているところが肝であると福原氏は言う。「本業のど真ん中である『酒・食・飲』による潤いの提供、社会との共栄、そして環境保全。これらすべてを推し進める原動力となるのが人財だ。今回、CSRの重点課題を洗い出す過程でも、改めて、人財に関わる事柄は重要な位置付けにあるとの考えに至った。そこで、『個性かがやく人財の輩出』を約束の1つに入れることにした」

 人財への取り組みの1つとして、グループ全体で近年、健康経営に力を入れている。従業員の健康・安全にフォーカスするため、2017年にはグループ全企業の社長が「健康創造宣言」を発信し、従業員の健康に会社が積極的にコミットしていく姿勢を打ち出した。

社員の健康に積極的に関与

 この宣言に則って従業員全員が、「エレベーターを使わない」「週2回、ジョギングする」「健康的な食事を心掛ける」といった目標を各々に宣言した。会社は健康管理アプリを全従業員に配布し、それぞれの宣言を職場で共有しながら、着実に目標に取り組めるようサポートしている。

 また、保健師を全国エリアごとに配置し、グループ全従業員の健康管理をさらに進められるような体制をとっている。健康診断結果を基に保健師がアドバイスを行うだけでなく、生活改善や医療連携に向け従業員と二人三脚で進めていくという。この他、がん検診の費用を会社が負担する制度も取り入れた。

サッポロホールディングス 取締役 人事部長 福原真弓氏

 「人財は会社の存在そのものと深くつながっている。当グループは食品を生業とし、人の口に入るものをつくっている。その意味では、お客様はもちろんのこと、従業員も当社の商品を口にする一人の人。そうした観点から、当グループには元来、人を大切にすることでお客様に価値を提供できるという考えが根本にある」と福原氏は語る。

 働き方改革に視点を移すと、同社ではここ数年の取り組みとして、テレワークの拡大、コアタイムを設けないスーパーフレックス制度、有給休暇を時間単位で取れる制度などを立て続けに導入した。さらには、終業時間から始業時間まで一定間隔空けるインターバル勤務も推進している。これらについてはトップダウンの決定で加速したという。

 テレワークについては以前から、在宅勤務制度を試行していたが、2017年に大幅改革。それまであった回数制限を撤廃し、社員が実施しやすい形に改めた。スーパーフレックス制度は、早朝5時から夜22時の中で働く時間を組め、それぞれの業務内容に照らし合わせながらワーク・ライフ・バランスをとることができる。時間有休は「平日に病院にかかりたい」「子供を病院に連れていきたい」といった従業員に多く利用されている。

 結果、従業員の仕事の要領やセルフマネジメント能力が上がっていると福原氏は言う。「空いた時間でセミナーを受講するなど、自己研さんに励む従業員も数多くいる。今回の新制度は人財への投資になったと、手応えを感じている」。