豪雨被害が相次ぐ中、水害対策への関心が高まっている。主力製品のシャッターに防水性能を付加することで、社会課題の解決に向け取り組んでいる。

 2018年もまた、日本は集中豪雨による大きな水害に見舞われた。ゲリラ豪雨も日常化し、水害対策は社会的な要請となっている。

 三和シヤッター工業は以前から防水商品の開発・販売を手がけていたが、防火シャッターを中心とする同社のメインストリームからはやや遠いところにあった。それが東日本大震災の津波被害をきっかけに水害対策が注目され、防水商品事業を本格スタートさせることになる。

 同社の防水商品ブランド「ウォーターガード」シリーズには防水板や防水ドアに加えて、今回の主役である防水シャッターがラインアップされている。業界初となる、防水機能が付いた電動パネルシャッターだ。

 「防水シャッターに取り組んだ直接の契機は、東京メトロから駅の出入り口に防水性能を持ったシャッターを設置したいという要望を受けたことです」と語るのは、開発部門でグループリーダーを務める辻健夫氏だ。

 以前から水害対策で使われてきた脱着式防水板は、ドアやシャッターの下部に取り付けたり、出入り口の開口部に設置することで機能を発揮する。しかし取り付けや設置には当然ながら時間も手間もかかる。浸水の水位がそれほど高くない場合には有効だが、2mクラスの洪水となると対応が難しい。当時、他社から取っ手で開閉するタイプの防水ドアは販売されていたが、多くの人が日常的に通行する地下鉄駅の出入り口に向いているとはいい難い。

 そうした事情からシャッターが選ばれた。シャッターなら通常は開放しておき、使用時だけ引き下ろせばいい。天井部分に収納できるのでスペースの制約がないのもメリットだ。

水圧に耐え操作も容易

 従来、シャッターそのものに防水機能を備える製品はなかった。そのため鉄道駅でも、水害発生時はシャッターの下部に防水板を人力で取り付けるという対応を取るのが一般的だった。

 「求められたのは、脱着の手間を省きつつ、駅構内への浸水を極力防ぐ全面防水。地下鉄駅で防水板を運搬し設置するのは大変な作業になるため、スイッチひとつで簡単に閉鎖できる防水シャッターは有益です。防水シャッターは水害時だけでなく、終電後に閉める通常の管理シャッターとして利用できる点もメリットになります」と辻氏は言う。

 この防水シャッターは、左右にそれぞれ3つのボタンが付いている。左側はシャッター開閉用、右側が防水機能を発揮させるためにシャッターを上から下、外から内へと押し付け、ゴムと密着させるボタンだ。閉鎖開始からゴム密着・防水対応完了まで、要する時間は40秒程度。ボタンを押すだけなので、駅員一人でも、また急を要する事態でもすばやい対処が可能になる。

 防水シャッターは水圧と戦わなければならない。水深1mで1㎡当たり約1tの水圧がかかり、わずかな隙間からでも水鉄砲のように噴き出してしまう。

 東京メトロに要求された仕様は2mの水位の浸水に耐えられるもので、しかも駅出入り口に設置するため幅も5mと広いものだった。2mの水圧に耐える厚みを持ちつつ、ゴムとの密着で水漏れ対策がしやすいということで、同社はパネル式を提案した。

■ 漏水量の比較
2mクラスの洪水に対しても、一般的な防水商品と比べて高い防水性能を誇る

※ 建材試験センターによる試験データを基に三和シヤッターが作成

 ただ、パネルの厚みと幅が大きいと重量も当然重くなり、シャッター本体を巻き上げる開閉機構が大きくなってしまう。そこで材質には軽いアルミを採用。それも押出成形で継ぎ目のない一枚アルミを製作した。水漏れ防止用のゴムなどは当然劣化もあるが、毎年点検を実施し、防水機能にかかわる部分で特にゴムを重点的に確認している。