「ダンロップ」「ファルケン」などのブランドで知られるタイヤメーカー、住友ゴム工業。自社製品の普及を軸に置いたCSRを目指し、SDGsとひも付けた取り組みを展開している。

■ 住友ゴムグループのCSRガイドライン

 住友ゴム工業は2008年、「自利利他」を重んじる住友の事業精神と、グローバル企業としての社会的使命をうたう企業理念を基に、住友ゴムグループCSR活動基本理念を制定した。

 この基本理念には「GENKI」というキーワードが行動指針として盛り込まれている。G=Green(緑化)、E=Ecology(事業活動の環境負荷低減)、N=Next(次世代型技術・製品の開発)、K=Kindness(人にやさしい諸施策)、I=Integrity(ステークホルダーへの誠実さ)の頭文字で構成されている。

 5つのキーワードをブレークダウンし、SDGsと関連付けた19の指標を設定。それぞれに年度ごとの具体的な定量目標を掲げ、経営層による進捗の(計画-実行-検証-改善)評価を行うことで、PDCAを着実に回している。2018年度からはステークホルダーの要望に応え、従来のアニュアルレポートとCSR報告書を統合し、「住友ゴムグループ報告書」を発行した。

環境配慮タイヤの開発に注力

 「GENKI」のうち特に柱となるのは、「N」に該当するタイヤに関わる次世代技術や製品の開発だ。同社はタイヤが地球環境に貢献できるテーマとして「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つを挙げ、環境配慮製品の開発に取り組んでいる。

エナセーブ NEXTⅡは、低燃費を実現するために、分子レベルでゴムの組成を見直した

 「原材料」では、天然資源の利用を増やす取り組みを進めている。一般のタイヤは、原材料に石油資源が60%程度使われている。同社は2013年、天然資源100%の「エナセーブ100」を完成させた。「低燃費性」については、トレードオフの関係にあるタイヤの転がり抵抗性能とウェット性能を両立させることで、燃料消費を低く抑えるタイヤを開発。低燃費タイヤのフラグシップ「エナセーブNEXTⅡ」は双方の性能で最高ランクを達成し、2017年は日経地球環境技術賞の最優秀賞を受賞している。他のタイヤ製品も低燃費を追求しており、現在、夏用タイヤの約9割が低燃費製品である。

 「省資源」では、完全なパンクの状態(空気圧ゼロ)でも所定の速度で一定距離を走行できるタイヤを開発した。自動車に積むスペアタイヤのほとんどは使用されずに廃棄されるが、同タイヤによってスペアタイヤを積まずに済めば省資源につながる。さらには次世代技術として、空気を全く入れずに樹脂で支えるタイヤの開発も進行中だ。

 次世代タイヤ開発を進めるなか、同社は2017年、新たな技術開発テーマである「SMART TYRE CONCEPT」を発表した。これは、安全に寄与するテクノロジーと、環境に貢献するテクノロジー、そこにタイヤ開発のコアテクノロジーを加え、3つの技術を融合させて全く新しいタイヤを作っていこうというものだ。CSR推進室長の橋本卓史氏は、こう説明する。

 「いま、自動車は100年に1度の変革期。未来のモビリティ社会に求められる安全性能と環境性能を高い次元で両立するために新しい技術開発コンセプトを設定した」。そしてこう続ける。「タイヤは摩耗や経年劣化で性能が下がる。同コンセプトの下では、新品時の性能を可能な限り維持するタイヤの量産化とライフサイクル全体で高い環境性能を実現するコンセプトタイヤを2020年に発表する予定だ」。

 「N」の取り組みは、「E」に直結する。同社は2009年から、環境省認定のエコ・ファースト企業として環境への取り組みをまとめた「エコ・ファーストの約束」を発表している。その“約束”を2017年更新し、タイヤ1本当たりのライフサイクルCO2排出量を2022年に2005年度比で14%以上削減するなどの目標を設定した。

 製造工程で省エネを徹底し、低燃費タイヤが普及することで製品ライフサイクル全体のCO2削減が進む。2017年度には既に12.7%の削減を達成している。「低炭素社会の実現に向けて、低燃費タイヤへの関心は海外でも高まっている。今後は当社グループだけでなく、原材料の調達先の協力を得ることや、海外の自動車メーカーやタイヤ補修市場への低燃費タイヤの供給比率を高めることで、グローバルでのライフサイクル改善を進めていくことが課題になりそうだ」と、安全環境管理部長の坂本秀一氏は語る。