“紙”活用のソリューション

 紙の大量使用に対しては、どうしても環境への負荷が指摘される。しかし一方で、紙の利用価値と需要が依然として高いことも事実だ。

 ビジネスでの紙使用においては、環境面以外にもう一つ重要な問題がある。機密情報の漏洩だ。印刷した文書は、いうまでもなく廃棄時に細心の注意を払わなければならない。

 環境対応とセキュリティ。この2点を掛け合わせたポイントで誕生したのが、使用済み文書をオフィス内で新しい紙に再生する乾式オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ) A-8000」だ。同商品開発の背景について、セイコーエプソンの碓井稔社長は次のように語る。

 「この商品は、ある意味でペーパーレス化へのアンチテーゼでもある。紙を活用しながらも環境に優しく、企業のセキュリティにも寄与するソリューションを創出することが、世の中に印刷機器を提供するエプソンとしての使命だと考えた」

 「PaperLab」は、紙の再生に当たって元の文書を繊維の状態にまで分解するため、記載された機密情報をオフィス内で完全に抹消できる。通常はA4の紙1枚を製造するためにコップ1杯程度の水が使われるが、「PaperLab」では水をほとんど使用せずに紙の再生を可能としている。加えて、1時間当たり約720枚のA4普通紙を生産できる高速性と、用途に応じて厚みや色などバラエティに富んだ紙を再生できる点も付加価値といえる。

 顧客側としては、機密の消去という点を重視して導入した企業が多い。再生紙は名刺として活用するところが目立つが、ある企業では地域貢献活動として、再生した紙で作ったスケッチブックを地元のこども病院に寄付したという。

 このほか、再生前に文書を留めてあるステープラーの針やクリップを外す仕事で障害者雇用を生み出した企業もある。

 これについては、「お客様に使っていただく中で私たちも新たに発見した付加価値だった」とエプソン販売の広報担当者は振り返る。エプソンでは「PaperLab」を、SDGsの目標のうち、水問題や森林保護、働きがいの推進など計6つの目標達成に貢献できる商品だと捉えている。

 印刷に関わる「インクジェット」を筆頭に、「ビジュアル」「ウエアラブル」「ロボティクス」の4つのイノベーションを起こし、社会課題の解決に貢献しながら、世の中に常に驚きを与える商品を提供していきたいと考えている。