ソリューション開発が鍵

 「ソリューション」では、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けて商業ビルなどでのエネルギーマネジメントを進めていく。国連によると、2050年には世界の都市化率が70%に達する。都市化はビルの密集を招くが、日本の商業ビルで使われる電力の44%はエアコンが占めるとの調査があり、適切なエネルギーマネジメントが必須だ。

AIを搭載し、温度も湿度もコントロールすることができる「うるさら7(Rシリーズ)」

 「エアコンは既に高効率な機器だが、まだその能力が十分に生かされてはいない。ここにIoT・AIとオープンイノベーションを加えて、ステークホルダーとも連携することで、圧倒的に効果の高いエネルギーマネジメントが可能になる」とCSR・地球環境センター CSRグループリーダーの中川智子氏は指摘する。

 フロンガスの影響削減においてもソリューションの効果が期待されている。前述のように、自社製品にR32冷媒を採用するのに加え、R32冷媒を用いた空調機に関する特許を無償開放し、情報提供や技術支援を実施している。この結果、途上国のローカルメーカーでもR32冷媒採用機が増えており、今後も普及が進むことが予想される。フロンガスの漏れの削減や回収・再生に力を入れるなど、製品のライフサイクル全体を通じた対策も推し進めている。

 「これらの成果に加え、世界各地での森林保全によるCO2削減なども合わせれば、CO2排出ゼロは決してチャレンジングな数字ではなく、十分達成できると考えている」と藤本氏は強調する。同社が打ち出した長期環境ビジョンは、その高みを現実的視野に捉えたシナリオに裏打ちされていることが分かる。エアコンがもたらす社会的価値についてはIEA(国際エネルギー機関)も注目しており、同社はIEAとも連携しながら取り組みを進める。

 「社会貢献、事業拡大の双方の視点で持続可能なビジョンを示すことで、社員すべてが会社と事業に自信を持って仕事に臨むことができる」と藤本氏。中川氏も、「長期環境ビジョンをこのタイミングで示すことに大きな意義があった」と語る。

 ダイキン工業は環境ビジョン2050を未来の道標として、5年ごとの戦略経営計画「FUSION」に具体的に反映させていく考えだ。