関連性高い2つの世界標準

 改訂版ISO14001とSDGsのそれぞれの内容についてポイントを押さえよう。

 ISO14001は、全10章からなる規格である(下図)。特徴は、本業と一体化した環境活動を目指し、戦略面を強化したことだ。

■ 改訂版ISO14001の項目
本業と一体化した環境活動を目的とし、戦略部分を強化した
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 従来は、「環境方針」の策定から始まるPDCA構造だったが、改訂版では「外部及び内部の課題」を起点とする構造へと変わった。よって「外部の課題」をSDGsの課題と捉えれば、SDGsの目標を「リスク及び機会」へと連動させ、全社に展開させることができる。

 「利害関係者のニーズ及び期待」の位置付けも変わった。従来は「見解を考慮」するだけでよかったが、改訂版は「理解」を要求している。これは、SDGsのような「社会からの期待」を起点としたマネジメントシステムであることを意味する。

 事業との一体化という点では、「リーダーシップ及びコミットメント」が強化された。環境マネジメントシステムの定義が、経営とかい離した特別な存在ではなく、本業のマネジメントシステムの一部であることを示している。

 また、環境方針のコミットメントの対象が、狭義の「環境」から「社会・環境」に拡張されたことにも注意が必要だ。従来は「汚染の予防」が対象だったが、改訂版では広く「環境保護」が対象となっている。ここでの「環境保護」は、持続可能な資源の利用、気候変動対策、生物多様性の保護などが対象であり、SDGsが掲げる多くの目標が含まれる。

 さらに、ライフサイクルの視点から環境側面の特定とその運用が求められた。自社だけでなく、製品の原材料の調達や、顧客の使用時の視点を求めている。従来「自社の環境活動」だった対象を、「サプライチェーンを通じた社会・環境活動」へと広げたところにポイントがある。SDGsは、こうした広がりの延長にあるものだと考えればよい。

 一方、SDGs側の実施指針であるSDGコンパスは、ISO14001とは全く異なったものに見えるかもしれない。しかし、実際は高い関連性を持っている。

 SDGコンパスは、企業でSDGsの取り組みを実践するに当たり、5つのステップを示している。この5つのステップは、マネジメントシステムの運用において基本となるPDCAそのものである。

 例えば、ステップ2「優先課題を設定する」では、自社のバリューチェーンで、SDGsに関連するマイナスやプラスの影響を考え、最大の効果が期待できる領域を見極めて、1つ以上の指標を選択することを推奨している。この作業は、ISO14001の「6.1 リスク及び機会への取組み」と同様のことを求めている。

 ステップ3「目標を設定する」では、優先課題から持続可能な開発目標を設定し、KPI(重要業績評価指標)を選択するとしている。これは、ISO14001の「取組みの計画策定」(6.1.4)、「監視、測定、分析及び評価」(9.1.1)と同様である。

 SDGsコンパスに記載された実施事項と、ISO14001における要求事項の対応表を下に示したので参考にしてほしい。

■SDGコンパスとISO14001の対応表
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