ステート・ストリートも経営の監視体制の強化を重視している。特に重視しているのが女性取締役の採用だ。同社の遠藤信也氏は、「取締役の多様性が経営の監視を強めることにつながる」と話す。

 同社は、「取締役会ダイバーシティ指針」を設定し、取締役会に女性役員や女性役員候補がいない場合、株主総会で取締役の選任議案に反対票を投じている。これまで、米国、英国、オーストラリアの女性取締役がいない大企業約700社に書簡を送付するなどの活動を展開してきた。

 2018年、いよいよ日本企業が議決権行使の対象となった。日本の時価総額上位500社に、女性取締役の有無や採用時期などを問う書簡を送付し、女性取締役の有無や採用方針などを確認した。最終的に150社に何らかの反対意見を表明したという。

日本的経営の見直し迫る

 議決権行使助言会社の動向も無視できない。投資家に議決権行使の賛否を助言するサービスを提供しており、外国人株主に絶大な影響力を持つ。今や日本株全体の約3割を外国人が保有しており、多くの海外投資家が助言会社の賛否を採用する。

 米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)の石田猛行エグゼクティブ・ディレクターは、日本独特の顧問・相談役制度に警鐘を鳴らす。「社長経験者の相談役や顧問は、経営面で強い影響力を持つ。基本的には反対する」と警告する。

 米グラスルイスは、2019年から女性取締役がいない企業に対して、会長または社長の選任議案に反対を推奨する。上野直子アジアリサーチシニアディレクターは、「日本の経営者の多くが、女性活躍が腑に落ちていない。多様性が企業価値の源泉になるという意識が必要」と話す。

「日経ESG」(2018年9月号)では、ガバナンス改革に取り組む企業事例などさらに詳しく紹介しています。