聞き手/田中 太郎(日経ESG編集長)

創業100周年に向け環境長期ビジョンを策定し、温暖化対策に力を入れる。国際イニシアチブへの参画で、揺るぎなき姿勢を内外に積極的にアピールしている。

住宅・建設業界で世界初

――2018年3月、温暖化対策に関する2つの国際イニシアチブ「RE100」「EP100」に参加し、8月には「SBT」(科学と整合した削減目標)の認定を受けました。それぞれ、なぜ取り組まれるのか、お聞かせください。

土田 和人(つちだ・かずと)
大和ハウス工業 代表取締役 専務執行役員 技術本部長 環境担当
1952年生まれ。76年福井大学工学部を卒業し、大和ハウス工業に入社。2016年取締役専務執行役員を経て、17年から代表取締役専務執行役員。趣味は妻との休日のランニング。2011年「第1回大阪マラソン」へ参加、2018年の「第8回大阪マラソン」が10回目で全て完走した

土田 和人 氏(以下、敬称略) やはり背景には、2015年にパリ協定が採択され、CO2削減目標が明確になってきたことがあります。大和ハウスグループとしても2016年度に環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定、大和ハウス工業の創業100周年に当たる2055年に向けての環境目標を明確にしました。これを具現化していくため、RE100、EP100に同時加盟し、SBT認定も取得しました。3つ全てに参画したのは住宅・建設業界では世界初です。

 当社の事業の柱は住宅・建築事業ですが、再生可能エネルギーによる発電事業も行っています。事業での再生可能エネルギー利用率を100%にするRE100、事業のエネルギー効率を倍増させるEP100ともに本業に直結しており、取り組みやすいと考えたことがイニシアチブ参画のきっかけです。

■ 国際イニシアチブに積極的に参画
SBT、RE100、EP100の3つすべてに参画するのは住宅・建設業界で世界初(それぞれ企業数は2018年10月1日時点)

――発電事業とRE100達成までに向けた取り組みについて教えてください。

土田 発電事業では太陽光・風力・水力を手がけています。2017年の実績は合計235MW。内訳は太陽光225MW、風力9MW、水力1MWです。これは大和ハウスグループで使う電力使用量の約63%に達しています。現在は発電量を拡大しているところで、2020年の350MWまでは見えています。

 その後、2030年までに電力使用量を上回る再生可能エネルギー発電を実現し、2040年には全電力使用を再生可能エネルギーで賄う、つまりRE100を達成するという目標を掲げています。

 現在はFIT(固定価格買取制度)で売電していますが、FITの期限が切れた後は順次自家消費に切り替えることで、RE100は達成できるものと考えています。

――EP100についてはどういった目標を掲げていますか。

土田 当社は2005〜2015年の10年で既にエネルギー効率2倍を達成しているのですが、今後は、2030年までに2015年比で1.5倍、2040年には同比2倍を目指しています。そのための具体的な方策としては、既存施設の省エネに加え、新築施設のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を進めています。

 既存施設では「大和ハウス東京ビル」がLEED-EBOM認証(既存建物)の最高ランクであるプラチナ認証を日本の住宅業界で初めて取得しています。

 一方、新築ではグループ企業が展開する「ロイヤルホームセンター」など大規模商業施設や事務所で、ZEB化を推進しています。