聞き手/望月 洋介(日経BP総研所長)

創業124年を迎えた長寿企業としての真骨頂を発揮して、時代の変化に柔軟に対応し変革を実現してきた。社内外の衆知を集めたイノベーションによる社会課題解決への貢献を目指したサステナビリティ経営を進める。

――経営の軸に据えているサステナビリティ経営について、まずはその思いをお聞かせください。

橋本裕一(はしもと・ひろかず)
アンリツ 代表取締役 グループCEO
1949年三重県生まれ、73年、名古屋工業大学卒、同年、アンリツ入社、2002年取締役執行役員、2010年代表取締役社長(グループCEO)就任、2018年からは代表取締役会長として、アンリツグループのサステナビリティ経営を推進

橋本 裕一 氏(以下、敬称略) 当社が120年を超える歴史を刻んでこられたのは、社会から必要とされる存在であり続けたからこそと考えています。もちろん大きな環境変化に幾度も直面し、そのたびに経営危機を乗り超えてきました。その危機突破力になったものが、長寿企業として培ってきた先進性、適応力であり、信頼性です。

 有線・無線通信機器の会社として出発しました。現在は同じ通信の領域でも、コミュニケーションシステムの新しいサービス・方式の開発や品質保証に欠かせない計測器をコア事業としています。「はかる技術」を水平展開した、食品・医薬品の品質保証ソリューションを提供するPQA(プロダクツ・クオリティ・アシュアランス)事業も開発してきました。長寿だからといって、次の10年、20年が約束されるわけではありません。社会課題から事業を発想し、社会的要請に応えることがサステナビリティ経営の肝と考えます。

――サステナビリティ経営のコンセプトについて教えてください。

橋本 サステナビリティ経営は、事業を通じて社会課題を解決していくことを企業戦略として、社会軸×事業軸×ブランド軸の積が最大化するマネジメントを目指します。どのような未来社会が期待されているか、それを描くのが社会軸です。その未来社会像は、当社では「5G/IoT社会」と呼ぶものであり、未来投資戦略では「Society5.0」であり、世界共通目標としての「持続可能な開発目標SDGs」につながるものです。

 事業軸は、120年以上の歴史を通じて蓄積した有形・無形の強みから紡ぎだす価値です。ブランド軸は、当社のブランドステートメント“envision:ensure”に体現された、すべてのステークホルダーによる「衆知を集めた経営」の推進です。

――具体的な取り組みはありますか。

橋本 2018年4月に経営ビジョン、企業行動憲章を改定するとともに、サステナビリティ方針を制定し、グローバル社会の持続可能性に貢献することを宣言しました。同時にサステナビリティ推進室・サステナビリティ推進会議を立ち上げ、マネジメントシステムを充実させました。中期経営計画「GLP2020」においてサステナビリティ目標を掲げ、事業を通じて解決するSDGs課題とESG領域における重要課題を設定しています。

 SDGsについては、「9産業と技術革新の基盤をつくろう」をグループ共通の目標としています。事業単位としては、計測事業では「11住み続けられるまちづくりを」、PQA事業では「12つくる責任、つかう責任」を掲げています。

■ アンリツのサステナビリティ目標(SDGs)
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