聞き手/望月 洋介(日経BP総研所長)

住友商事グループは、事業精神、経営理念をベースに6つのマテリアリティを特定。事業を通じて新たな価値を生み出すことで、社会に貢献するとともに、持続的成長の基盤を強化する。

山埜 英樹(やまの・ひでき)
住友商事 代表取締役 常務執行役員 コーポレート部門 企画担当役員 CSO・CIO
1983年に住友商事に入社し、2010年に風力・水プロジェクト事業部長に。14年理事環境・インフラプロジェクト事業本部長、16年執行役員 経営企画部長、18年常務執行役員 コーポレート部門企画担当役員 CSO・CIOを経て同年6月現職に就任

――企業を、長期的かつ多元的に評価するESGの流れは、事業にどのような影響を与えるか教えてください。

山埜 英樹 氏(以下、敬称略) ESGで企業を評価する潮流は、取り巻く社会・環境問題だけでなく、企業自身が過去に短期的業績を追い求めた反省から学ぶことで生まれたものです。世界の経済発展とともに成長してきた総合商社として、社会の課題解決に積極的に取り組む必要性を強く感じるとともに、それが当社自身の持続的成長にもつながると考えます。

――住友商事グループのマテリアリティ特定の背景を教えてください。

山埜 持続可能な社会の実現への姿勢を明確にすることが企業に求められる中、従業員、多様なステークホルダー、有識者との意見交換やSDGsを踏まえ2017年に特定しました。「人材育成とダイバーシティの推進」「ガバナンスの充実」を基盤とし、健全な事業活動を通じて「地球環境との共生」「地域と産業の発展への貢献」「快適で心踊る暮らしの基盤づくり」「多様なアクセスの構築」に取り組むという、6つのマテリアリティのベースは、「住友の事業精神」と「住友商事グループの経営理念」であり、事業において常に変化を先取りし、新たな価値を創造して、広く社会に貢献する姿を表現したものです。

――社員への浸透は難しいのでは。

山埜 説明会などで繰り返し特定の背景や重要性を伝えるとともに、事業部門ごとにサステナビリティ推進の責任者と担当者を任命して浸透を図っています。新規事業については、最初にマテリアリティとの結びつきの説明を求め、マテリアリティに合致しない事業は推進しません。対外的なプレスリリースの中でも、事業とマテリアリティの関係を明確にしています。

――2018年の統合報告書では価値創造モデルを示しています。

山埜 価値創造モデルは、住友の事業精神と住友商事グループの経営理念を核として、多様な人材を確保・育成し、ガバナンスをきかせながら、長年築き上げた経営基盤を活用してビジネスを創り上げ、長期的に企業価値を高めていく、当社の在り方を表しています。マテリアリティを投影した新たなビジネスを通じて社会に価値を提供し、社会へ貢献するとともに経営基盤を更に強化し、持続的に企業価値を向上させていきます。