聞き手/望月 洋介(日経BP総研 所長)

埼玉県を地盤とし、「環境」に軸足を置いた廃棄物処理・リサイクル事業を展開するエコ計画。経営理念と高い親和性を有し、実際に古くから手がけてきたESGの取り組みを追う。

――廃棄物処理とリサイクルを中核事業としており、ESGの「E」が本業です。企業戦略の中でESGやSDGsをどのように位置づけていますか。

井上綱隆(いのうえ・つなたか)
エコ計画 代表取締役社長
1965年埼玉県生まれ。1986年エコ計画に入社。93年取締役に就任。現場部門を統括する本社環境管理部取締役、経営企画室担当常務取締役を経て2006年エコ計画代表取締役社長就任。環境・食・貢献をテーマにグループ会社を含め、業容を拡大している

井上 綱隆氏(以下、敬称略) 当社の創業場所であり、廃棄物施設を併設した本社は、JR西浦和駅から徒歩5分の住宅地にあります。駅からこれほど近い廃棄物施設は、他にはないでしょう。廃棄物処理は地域の方々の理解と信頼がなければ成り立たない事業です。1970年の設立から約50年にわたり「環境・食・貢献」をテーマとして地域貢献や地域との共生を企業理念に掲げ、多角的に事業を展開してきました。ESGは当社のテーマと親和性が高く、社員も理解しやすい概念だと思います。

 当社はJリーグ・浦和レッズの設立時から株主かつオフィシャルパートナーとして経営に参画し、女子の浦和レッズレディースの選手を当社で2人雇用もしています。また、後ほど詳しくお話ししますが、森林保護は環境と地域貢献の視点からESGの重要なテーマであるとともに、SDGsの目標の一つでもあるので、積極的に取り組んでいます。

――1997年、社名を井上興業からエコ計画に変更しました。「環境」を社名にダイレクトに取り入れたことはチャレンジでしたか。

井上 そうですね。当時はまだ「エコ」という言葉が普及しておらず、私の父で創業者(現・社主)の井上功は他社から「何だその名前は」と言われたと聞いています(笑)。ただ、普及していなかったおかげで「eco.co.jp」のドメインを取れましたし、クマのキャラクター「エコちゃん」も社名変更と同時に始めましたから、環境に関して先駆的な試みをしてきたと自負しています。

廃棄物の排出抑制を促進

――本業の「E」における最近のトピックを教えてください。

井上 中国が廃プラスチックなどの輸入を停止したことで、廃棄物処理業界も大きな影響を受けています。さらに昨今は海洋プラスチック問題もあり、排出事業者の意識改革という点で大きな転換点を迎えています。そこで当社はリデュース、リユース、リサイクルの「3R」を本格的に促進する戦略として、排出事業場に参画して廃棄物を発生工程で抑制し、有価物への転換を進める活動に取り組んでいます。コンサルタントとしての提案にとどまらず、顧客に設備投資を促し、人を派遣するなどソリューションの提供も行うとともに、同業他社や環境企業などと連携して新技術開発も進めています。

 今、廃棄物処理業者はどこも手一杯で、廃棄物全体をいかに減らすかが大きな課題になっています。埋めればいい、燃やせばいいという話ではなく、排出自体を抑制していかないと、日本もゴミ大国になりかねないという危機感を感じています。

――廃棄物処理とリサイクルはどちらも価格競争に巻き込まれやすい業種ですが、他社との差別化としてどのような点に注力していますか。

井上 やはり排出事業者に「安全・安心」をお届けすることですね。当社は収集・運搬から中間処理、最終処分までを一貫して受けるワンストップサービスを提供しています。中間処理施設の寄居エコスペースが埼玉県の彩の国資源循環工場内に立地しており、顧客のニーズに合わせてリサイクル・管理型処分を完結できます。県内に3つの焼却施設を有し、輸送面でのリスク軽減も含めて盤石な受け入れ体制を整えています。顧客の業務を煩雑にせずに簡素化・効率化を図れるので、価格面も含めて総合的な観点から排出事業者に納得いただけると考えています。

■ エコ計画が掲げる地域と連携した経営の3つのテーマ
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 焼却に際しては国の基準よりはるかに厳しい自主基準を設け、ダイオキシンや煤塵(はいじん)の排出を抑制しています。焼却施設にはピンポイントに初期消火できるシステムを設置するなど、従業員の労働環境を守るという点でも「安全・安心」を追求しています。