聞き手/酒井 綱一郎(日経BP社取締役副社長)

環境貢献と生活の質向上の独自指標を定めた三井化学。2つの指標の貢献度を売上高の30%まで高める製品展開を進める。

――2018年4月に「ESG推進室」を新組織として立ち上げました。その理由と取り組みについて教えてください。

淡輪 敏(たんのわ・つとむ)
三井化学 代表取締役社長
1976年早稲田大学商学部卒業、三井東圧化学(現・三井化学)入社。大阪工業所に配属。アルジェリアでのコンビナート建設や人事部門での諸制度改定に携わる。2007年執行役員、2012年取締役、2014年4月より現職。2018年5月に日本化学工業協会会長に選任される

淡輪 敏 氏(以下、敬称略) 当社はこれまで経済軸・環境軸・社会軸から成る3軸経営を推進してきましたが、業績が低迷するとバランスのとれた経営が難しくなり、環境軸・社会軸への取り組みが不十分になりがちでした。しかし、今やESGは「必須」の経営課題であり、ESGを事業・戦略そのものに組み込むべきと考え、専任組織を設置しました。

 全社の戦略はもちろんのこと、各部門の事業戦略においても、経済軸だけでなく環境軸・社会軸の要素も具体的に落とし込み、評価の対象としています。

――ユニークな指標として「Blue Value®」「Rose Value™」があります。それぞれについて教えてください。

淡輪 Blue Value®はCO2削減、資源の保護、自然との共生といった環境貢献価値、Rose Value™は少子高齢化、健康寿命の延長、食料問題への対応といったQOL(生活の質)向上貢献価値を意味します。それぞれの貢献を、外部の方の評価も受けて見える化し、製品の売上高比率を指標として定量的に表しています。

 2017年度の実績はBlue Value®が19%、Rose Value™は14%ですが、長期経営計画では2025年度にそれぞれの製品の売上高比率を30%まで上げることを目標に設定しています。

 具体的な製品としては、たとえば当社独自の紡糸技術で実現した軽量で柔軟な紙おむつ用不織布「エアリファ®」。CO2削減・廃棄物削減でBlue Value®に、快適な暮らしを支え少子高齢化への貢献という点でRose Value™に該当します。

 自動車の軽量化や塗装レスなどの工程簡略化によりCO2削減や省資源に貢献するPPコンパウンドはBlue Value®に、フードロス削減に貢献できる鮮度保持パッケージはRose Value™に認定しています。これらの製品は2つの独自指標だけでなく、SDGsの各目標にも貢献するものです。

■ Blue Value®とRose Value™と対応するSDGs目標
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