地球的課題の議論をリード

――10年、20年先を見据えた次世代事業の創出にも力を入れています。有望な事業とその事業がBlue Value®、Rose Value™やSDGsにどう位置付けられているかを教えてください。

淡輪 2つ挙げます。1つは敗血症の原因菌を短時間で同定する「細菌迅速検査システム」です。従来、敗血症の原因菌特定には数日間かかり、その間に症状が悪化して患者の死亡率が高まっていました。同システムを用いれば5時間程度で同定できることで注目されています。Rose Value™の考え方に基づいた新事業であり、SDGsでは目標3の健康・福祉に貢献します。

 もう1つは、「太陽光発電診断サービス」です。太陽光パネルの品質確認により発電所の発電能力低下を抑制し、温室効果ガス削減に寄与するものです。Blue Value®に認定しており、SDGs目標13の気候変動や目標7のエネルギーに該当します。

――気候変動への対応に関して、化学産業はこれまでもCO2削減に取り組んできましたが、現在はTCFD(気候関連情報開示タスクフォース)対応など要請がさらに高まっています。

淡輪 化学産業はバリューチェーン全体を通した削減にどう貢献できるかというところに進んできていると考えます。Blue Value®の拡大は、この貢献を図る指標にもなります。

 このほど私は日本化学工業協会の会長に就任し、国際団体である国際化学工業協会協議会(ICCA)のエネルギー・気候変動部会のリーダーにもなりました。国際的組織で日本が全体の議論をリードしていくことはとても重要です。

――化学業界5団体で設立した海洋プラスチック問題対応協議会で会長に就任されました。この問題についてどのようなお考えをお持ちですか。

淡輪 日本はプラスチック規制をしていないので遅れているという話がよく出ます。しかし日本は歴史的にゴミ処理問題で非常に苦労してきたので、プラスチックについてもしっかり管理をしていると考えています。現在、日本のプラスチックは約84%が有効利用され、埋め立てや焼却に回るのは残りの16%程度。海洋プラスチック問題は脱プラスチックの話になりがちですが、日本の管理モデルにも見るべきところはあると訴えたいです。海洋プラスチックは化学業界全体での対応が必要だと認識しており、日本の技術を海外にどう広めていくかを考えています。