相馬 隆宏

テン コーポレーションは、IT(情報技術)を活用した新型の天丼店を開店した。店舗業務を効率化し、外国人でも働きやすい環境を整え、人手不足を乗り切る。

 「天丼てんや」を国内外で219店舗展開するテン コーポレーションが2018年10月2日に開店した「大江戸てんや」(東京都台東区)は、外国人でも働きやすい環境を整えたのが特徴の1つだ。同店は「天丼てんや 浅草雷門店」を改装した店舗で、場所柄、訪日外国人客が約9割を占める。店員の半数以上も外国人という。

 大江戸てんやは完全なセルフサービス方式で、客は入り口付近に設置されたタブレットを操作して注文し、その場でクレジットカードや電子マネーなどを使って支払いを済ませる。

 客から注文を受けると、厨房に設置したディスプレーに、揚げる天ぷらの食材の組み合わせと数をイラストで表示する仕組みだ。日本語に不慣れな外国人にも分かりやすく、メニューごとに盛りつける食材を暗記する必要もない。

 「これまでは食材の組み合わせを覚えるのが大変で、中には辞めていく人もいた」(テン コーポレーションの村松益次社長)。新しい仕組みによって店員の教育時間を削減できるため、「短期間で即戦力になる」(村松社長)。

厨房のディスプレー(右写真の奥)に必要な食材をイラストで表示(左)
写真左:マウント・スクエア
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 キャッシュレス方式を導入することで現金の管理業務がなくなる効果が大きく、店舗の総労働時間を12%削減できると試算する。同社の標準的な店舗と比べて店員の数は半分程度で済むという。店舗業務の軽減などで成果が出れば、他店への展開も検討する。

 外食業界は人手不足が特に深刻で、同店もアルバイトの採用は厳しいという。飲食物調理や接客・給仕の職業の有効求人倍率(2018年8月時点)は3倍を超えており、全職業平均の2倍以上となっている。テン コーポレーションは、2030年に国内の店舗数を250店舗と現在から2割増やす計画。店員の確保は最重要課題の1つだ。

 政府は、外国人労働者の受け入れを本格化する意向で、人手不足の解消には外国人が働きやすい環境を整えることが鍵になりそうだ。