RSPOの基準、5年ぶり改定

 認証パーム油の環境・人権上の問題が指摘されるのはこれが初めてではない。2016年にはマレーシアのパーム油生産大手IOIグループが天然林を伐採しているとして認証を取り消され、ユニリーバや花王など27社が調達を中止した。同年、人権団体アムネスティがシンガポールのパーム油生産ウィルマー・インターナショナルの農園で人権侵害があり、そこの認証パーム油がネスレなど9社に供給されていると告発した。

 問題が起きる背景にRSPO認証制度の欠陥がある。基準の緩さに加え、認証機関による監査の緩さもある。「農園の監査は抜き打ちではなく事前に通知して行うため人権侵害を隠ぺいできる」と川上氏は言う。

 「このままではRSPOが認証として成立しないという危機感がある」とWWFジャパンの南明紀子氏は話す。こうした背景も後押しし、2018年11月に開かれたRSPO総会ではRSPOの基準が5年ぶりに改定され、強化された。新基準発表前の8月にはNGOセリーズの主導の下、機関投資家が「RSPOの基準強化」を求める共同書簡をRSPO本部に送った。英アビバ・インベスターズなど約90社が名を連ねた。これらの資産総額は約760兆円に上る。

2018年11月に開かれたRSPOの総会で、原則・基準を5年ぶりに改訂し、環境面や人権面の基準が強化された
写真提供:WWFジャパン
■ RSPOの新基準に盛り込まれた主なポイント
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 新基準は、泥炭地の開発の完全禁止や、炭素貯蔵量が多い土地の開発禁止を規定。搾油工場に対してトレーサビリティーを確保する証明書の確認も盛り込んだ。人権面では、児童労働や強制労働を排除する細かな基準を設けた。2020年の審査から新基準による認証が付与される予定だ。認証機関を監査する認定機関の役割など監査の強化も必要だろう。

 最近、日本企業は続々とRSPOに加盟し、認証パーム油の調達に乗り出した。しかし出遅れた結果、認証油は欧米に出回り、日本市場では入手が難しくなっている。さらに、「認証ならよしとして、どの農園から調達されているか気にしない企業が多い。このままでは2020年の東京五輪向けの持続可能なパーム油の調達もおぼつかない」と南氏は懸念を示す。パーム油は機関投資家にも重要な課題だ。日本企業の対応が厳しく追及されるリスクが高まっている。